翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

世界

生活のハードルを下げる

日本人男性の自殺率は失業率と相関しているけれど、ヨーロッパではまったく連動していないという記事を読みました。 スペイン巡礼中にバルに立ち寄ると、昼間からゆっくりコーヒーやワイン、ビールを楽しんでいる中高年の男性たちをよく見かけました。失業中…

日本のサービスはもう少しゆるくてもいい

台北で再開したカミーノ・フレンドの二人は日本が大好きで何度も来日していますが、「旅行ならいいけれど、日本で暮らすのはとても無理」と口をそろえて言います。理由は、人に迷惑をかけるのを避けるための暗黙のルールが多すぎるから。見るからに外国人と…

台北のカミーノ・フレンド

台北で楽しみにしていたのが、スペイン巡礼で会った台湾人の葉さんとの再会です。 小さな街の同じアルベルゲ(巡礼宿)で顔を合わせました。モンベルのジャケットにハローキティの水筒を持った葉さんをてっきり日本人だと思って「こんにちは」と声をかけのが…

台湾澎湖島、80年ぶりの帰郷

澎湖島(ほうことう)という島の名前を初めて聞いたのは何年も前のこと。スポーツクラブの友人のお母さんの生まれ故郷です。日本統治下で生まれ、終戦を迎えて5歳で日本へ引き上げ。メジャーな観光地を巡る台湾旅行に家族旅行した際に「本当に行きたいのは澎…

自分の名前に感謝する

日本に帰ったらあれもやりたい、これもやりたいと夢見ていたはずなのに、実際に帰ってみると、心ここにあらずの日々。スペインに過剰適応して、日本での生活が気の抜けた日々の連続のように感じられるのです。 朝起きたら、何も考えずにパッキングを済ませて…

最後の女神、ラクシュミー

スペインから帰国後、なかなか日本にいる実感がわかず、ぼんやり過ごしています。 易の本が出版されたというのに、他人事のよう。ウラナイ8の夏瀬杏子さんを初め、告知してくださったみなさま、ありがとうございます。 uranai8.jp スペイン巡礼の日々は、朝…

巡礼という長い夢の終わり

本来ならスペイン巡礼のフランス人の道は、ピレネーの麓のサンジャンピエドポーから聖ヤコブを祀るサンティアゴデコンポステーラまでに全長800キロ。ゴールまで100キロ余となったのサリアで巡礼を終えます。 というのも、サリアからはぐっと歩く人が増えて巡…

にぎやかしとしての日本人

スペイン巡礼前に取り組んでいた易の本、帰国したぐらいに出版となるタイミングでしょうか。 実占例はウラナイ8の夏瀬杏子さんにお願いしたのですが、その中に「なかなか結婚しない子供を心配する親からの相談」がありました。易では、本人からの依頼ではな…

今日一日だけ、歩いてみよう

ローマ時代から都市として栄えたアストルガは、ガウディが手がけた宮殿もあり、スペイン巡礼のハイライトとなる街の一つです。アルベルゲもたくさんあり、選んだのがSo Por Hoje。ポルトガル語で「今日一日だけ」という意味です。 オスピタレイラのパトリシ…

30メートルで聖から俗へ

へ大都市レオンの前に立ち寄ったレリエゴスという小さな街。ベジタリアン料理を出すアルベルゲがあったので泊まってみました。 ソル(スペイン語で太陽)という名のハキハキした若いお母さんが取り仕切っています。マドリード出身ということで、夫婦と子供た…

カミーノ・マジックが生まれる土壌

カミーノ・マジックという言葉を初めて聞いたのは、パンプローナの宿の朝。たまたま出会ったドイツ人のマイケルからです。その宿はビルの3フロアから成り、客室から朝食会場の共有スペースに入るには鍵が必要でした。私は朝食後そのままチェックアウト後する…

日本版アルベルゲの夢想

オランダ、イタリア、ブラジル、ドイツなど、スペインにいながらにして国際色豊かなアルベルゲを泊まり歩いています。もちろん、スペイン人オーナーでパエリアが出るアルベルゲにも泊まりました。 先日は韓国アルベルゲ、オリオンへ。 カミーノを歩くアジア…

カミーノ・ファミリーの罠

占いの学校で「相談される悩みの大半は人間関係。貧困の悩みなら占い師に高額な鑑定料を払うべきではないし、病気の悩みは病院に行ったほうがいいから」と教わったこともあります。夫婦や子育ても広義の人間関係であり、大きな喜びがもたらされる反面、悩み…

ドイツ婦人の完璧アルベルゲ

子供の頃に読んだ『二十一の気球』。21の国から1家族ずつが集まり、1日ごとに食事当番を担当し、世界中の料理を楽しむという話です。小さ目の私営アルベルゲを訪ねていると、スペインにいながらにして世界旅行をしているような楽しさがあります。 bob0524.…

ドネーション(寄付)の達人を目指したい

巡礼宿には公営と私営、そしてドネーション(寄付)があります。 もっぱら私営の宿に泊まっているのですが、予約がうまくいかないことがあって一度だけ公営に泊まって見ました。公営の宿は格安ですが予約ができず先着順。早めに並んだから泊まれたものの、疲…

スペインなのに、オランダとイタリア

ピレネーの麓、ロンセンバーリェスのアルベルゲ(巡礼宿)でボランティアとして働いているのは、ほとんどオランダ人でした。オスピタレイラとして巡礼者の世話をしている女性によると、オランダの教会組織がアルベルゲを所有しているそうです。 「なぜボラン…

自分の巡礼スタイルを見つける

スペイン巡礼に出る前に経験者の話を聞いたり書籍や体験談を読んで情報をあつめてきましたが、実際に歩いてみないとわからないことがたくさんあります。 特に当てにならないのが必要な日数。1日で20キロ前後を歩くのが標準とされていますが、私にはちょっと…

成田でロビー・ロバートソンを偲ぶ

出発の日。まず成田からヘルシンキに飛び、パリに向かいます。 夫が休みを取って見送りに来てくれました。成田山新勝寺で旅の無事を祈り、空港近くの空の湯で温泉、サウナ、外気浴を堪能。日本を離れるのが嫌になりました。 直行便だとパリに夜の到着になっ…

心を開き、言葉を交わそう

まだ先のことだと思っていたのですが、来週の今頃はスペインにいるはずです。 スペイン巡礼の体験記で「心を開いて旅をすれば、きっとたくさんのことがあなたの中に入ってくるでしょう」という言葉を見つけました。 歩くのはどこでもできる。あなたの国でも…

使用するかどうか確信が持てないものは荷物に入れない

先日のウラナイ8のMCの甘夏さんから「スペイン巡礼に行くことになったきっかけ」を聞かれました。大切な人を失って、死を受け入れるために歩く人もけっこういます。 『わたしに会うまでの1600キロ』も、そうした話です。 原題は”Wild:From Lost to Found on…

72歳の挑戦

スペイン巡礼の掲示板に、72歳の女性が「初めて行くのだけど、旅行会社に宿や荷物運搬の手配を頼むか、自分でやるほうがいいか」という質問を書き込みました。 情報も集めているし、トレーニングもしているけれど、一人で全部やるのは不安だと。わかります、…

「昔はよかった」と嘆いても、しかたがない

来月の下旬に出発するスペイン巡礼、最初の1週間の宿を予約しました。 到着地のパリは都会だからしかたがありませんが、巡礼路の始まりであるサン・ジャン・ピエ・ド・ポーでは、天気のようすを見てピレネーを越えようと考えていました。しかし、カミーノ友…

旅で観るべきもの

スペイン巡礼に出てもサンティアゴ・デ・コンポステーラまで行かなくてもいいと思うようになったのは、司馬遼太郎の『街道をゆく 南蛮の道』の影響もあります。 前半のテーマはバスク。ピレネー山脈のふもと、フランスとスペイン双方にまたがる地方です。ベ…

過去は現在につながっている

ウクライナの戦争は長引き、ロシアにクーデターが起きたのかと思いきや、何がどうなったのかよくわからない状況。 先日は釜山の旅を楽しみましたが、朝鮮戦争は終わっているわけではなく休戦状態が続いているだけだそうです。 観光名所となった甘川文化村。 …

太陽のサーカス

22年ぶりにシルク・ドゥ・ソレイユの舞台を観ました。 前回は40歳の誕生日で、演目は「O(オー)」。ステージ全体がプールになるという大胆な演出に圧倒されたのを覚えています。 別の演目をまた観たいと思いつつ20年が過ぎ、2020年の新型コロナで公演はすべ…

闇を抱えて生きる

日本を代表するエンターテインメント業界を揺るがすスキャンダル。 これまで見て見ぬふりをしてきたことも、欧米のコンプライアンス基準だと許されないと言われますが、アメリカの映画界だって大物プロデューサーのバーベイ・ワインスタインの悪事が明らかに…

高齢者のサバイバル

自宅からもっとも近い都市銀行をメインバンクにしているのですが、ここ数年、改悪ばかりです。 ATMの数を減らして、窓口から分離して行き来できないようになりました。窓口は予約が推奨されています。銀行に利益をもたらさない少額預金者は相手にしていない…

人間関係のほどよい距離

最終的には人間関係が幸福度を左右するとよく言われます。いくらお金があっても、孤独な高齢者は幸福を感じることなく死を待つのでしょうか。 しかし、やたらと人とつながればいいとは思いません。誰が何をやっているか筒抜けになってしまう狭い共同体には、…

変化は多かったが、変わらない私たち

連休中はどこも混雑しているようなので、近場へ。 話題の歌舞伎町タワーでBTSの映画「Yet To Come in Cinemas」を見に行きました。 私のような、にわかファンは「Dynamaite新規」と呼ばれます。世界的ヒットとなったDynamaiteからBTSを好きになったから。そ…

第二の敗戦?

熊野古道の中辺路の起点、滝尻の民宿のご主人から聞いた話。 「外国人は、エージェントを通して早めに予約して部屋を押さえる。日本人が思い立って熊野古道を歩こうとしても満室。紀伊田辺駅のビジネスホテルに連泊して、バスで熊野古道の起点に行って歩き、…