翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで重版になりました。

日本のサービスはもう少しゆるくてもいい

台北で再開したカミーノ・フレンドの二人は日本が大好きで何度も来日していますが、「旅行ならいいけれど、日本で暮らすのはとても無理」と口をそろえて言います。理由は、人に迷惑をかけるのを避けるための暗黙のルールが多すぎるから。見るからに外国人とわかる西洋人なら「海外の人だから」と大目に見えてもらえますが、ぱっと見て日本人のような彼女たちは「どうして非常識なことをするの」と冷たい目で見られたことがあったのかもしれません。

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先日のお昼、近所のコンビニに行ったたときのこと。

コンビニで会計しようとしたら、レジに誰もいません。小さめの店でレジに一人しか店員さんがいないことが多いのです。品出しでもしているのかと思ったら、高齢の男性がマルチコピー機の操作がわからず店員さんを呼んでいたのです。

しばらくすると、店員さんが戻ってきて「お待たせして申し訳ございません」と平身低頭で何度も謝ります。気の短い人ならイライラして店員さんにキレていたかもしれません。かといって操作がわからないお客さんを「画面の指示に従って自分でやってください」と突き放すとそっちもクレームになりそうです。

 

そこで思い出したのが、スペインの小さな村の食料品店のゆるい接客。

飲み物を買いたかったのですが、店主らしき男性はずっと電話中。他に店員さんはおらず、いっこうに話は終わりません。商品を棚に戻して店を出るのも感じが悪いし、そもそも急ぐ旅ではありません。車で行けば30分で着く距離を徒歩で進んでいるのですから、お店で少々待たされてもどうということはないのです。

すると男性はカウンターにあったナッツの大きな瓶の蓋を片手で開け、私に手を出すようにジェスチャーで伝えます。そして私の手のひらにナッツを乗せるのです。話が終わらないから、ナッツでも食べながら待てということでしょう。日本では考えられない接客です。

 

 

スペインから帰国後、仕事をまったくしていないわけではなく、細々と続けています。それでも全盛期の10分の1にも満たないほどの量です。

世の中は人手不足だというし、社会と接点を保つために週に2回ほどゆるく働いてみるのも悪くないとは思うのですが、尻込みしています。

求人が多いのは飲食や販売でしょう。学生時代にはウエイトレスやデパートの売り場でアルバイトもしたことがありますが、ブランクが長すぎて未経験と同じです。今の複雑なレジ操作ができるかどうか自信がありませんし、何よりも不安なのは客からのクレームです。直接言われるだけでなく、ネットの口コミに書かれるかもしれません。

 

日本を訪れた外国人は、丁寧でスピーディなサービスに感動しますが、それはコンビニやファストフードの店でも高級店と同じような接客をしているから。すばらしいことですが、日本人の首を絞めているのでは。もう少しゆるくてもいいのではないでしょうか。