翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

生活のハードルを下げる

日本人男性の自殺率は失業率と相関しているけれど、ヨーロッパではまったく連動していないという記事を読みました。

スペイン巡礼中にバルに立ち寄ると、昼間からゆっくりコーヒーやワイン、ビールを楽しんでいる中高年の男性たちをよく見かけました。失業中なのか昼休みなのかよくわかりませんが、深刻そうな表情の人はおらずみんな楽しそうでした。巡礼が通る村ということもあり、外国人が来ても気にせず自然体です。

 

そして、バルやお店での働き方ものんびりしています。接客業のストレスなんてなさそうです。

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日本のホテルや旅館ではとても働けないけれど、スペインのアルベルゲ(巡礼宿)でボランティアをしてみたいと思うのは、そんなに大変そうじゃないからです。

夕食付きの宿もありますが、サラダかスープとメインの二品。連泊する客がいないので毎日同じという宿もあります。

 

このサラダは手が込んでいるほうです。フルーツとナッツがふんだんに使われていてドレッシングとよく合っていました。普通はもっと色味の少ない地味なサラダです。

「パエリア」と聞くと心が弾みましたが、大鍋で米と具材をオリーブオイルで炒めて煮込むだけ。この日は鶏肉と玉ねぎ、パプリカでした。毎日作っていたら失敗もないし、ご飯の炊き加減に神経質なのは日本人ぐらいでしょう。欧米人はパンと一緒に食べるので、お米は野菜の一種だと考えられていることがよくわかりました。

 

巡礼宿はチェックインが昼過ぎからと早いのですが、出発も午前7時か8時。ほとんどのアルベルゲでは、見送りはなし。スタッフは朝ゆっくりしているようです。

 

ある宿ではチェックインは午後1時のはずなのに、誰もいません。鍵は開いているので、先に来た巡礼と中で待っていました。30分ぐらい遅れて現れたオスピタレイラは「ごめん、これから客室に掃除機かけるから、先にシャワーを浴びるか庭で昼寝でもしていて」と掃除を始めました。おおらかなものです。

 

「勤勉」「高い生産性」が求められる日本に生まれて、ずっと社会から評価される人になろうとしてきました。スペインでゆったり働く人たちを見て、いったい自分は何のためにあくせくしてきたのだろうと思いました。

「ていねいな生活」にはあこがれますが、そこまで家事に手をかけなくていいのでは。日本のカラフルなお弁当はもてはやされているけれど、毎朝作るのは大変そう。手作りのキャラ弁なんて、暑い日の食中毒は大丈夫なんでしょうか。ピーナツバターを塗ったパンとリンゴだけというアメリカ人のお弁当で十分なのかも。

 

高齢になるにつれ、できなくなること、面倒になることが次々と出てくるでしょう。「こうでなければならない」という思いを捨てて、気楽に生きていきたいものです。料理が面倒なら品数は少しでいいし、なんなら買ってきてもいいのです。食が細くなっていくと、食材から作るのはかえって不経済になるかもしれないし。

 

仕事や家事だけでなく人間関係も。楽しくない人とは無理につきあわなくてもいいし、見栄を張る必要もありません。何百キロも歩くスペイン巡礼はさぞかし大変だろうと予想していたのに、学んだことは「人生、がんばらなくていい」ということでした。