「推し活」は楽しいけれど、お金と時間を限界まで費やすのはいかがなものかと思います。
そこで、おすすめしたいのが「推し」の複数化。「愛の分散投資」という言葉もありますが、何事も唯一の対象に入れ込みすぎるのは危険です。
温泉の紹介本で「推し宿に課金」というパワーワードを知り、好きな宿にはリピーターとして繰り返し泊まることにしています。
宿を推せるのなら、都市も推せます。6月の旅でニューヨークこそが世界で一番好きな都市だと実感できました。
ザ・バンドのリヴォン・ヘルムが「初めてニューヨークを訪れた時は全く相手にされなかったけれど、何度か来るうちにニューヨークと恋に落ちた」と語っていますが、その心境がようやくわかりました。

街を歩いているだけでも心が弾みます。ユニオンスクエアからタイムズスクエアへ向かう途中、ふと見上げるとティン・パン・アレーの標識が。ザ・バンドのメンバーやボブ・ディランがこの界隈を歩いていたんだと想像するだけでわくわくします。
企業だって推せます。私が推すのはコマツ。
コピーライター時代、コマツではない重機メーカーを担当してPR誌の原稿を書いていました。業界トップのコマツは常に仰ぎ見る存在。自社製品が故障したら世界のどこにでも対応する企業姿勢が信頼されています。災害の復旧のために黙々と動くコマツの黄色い重機。移動するだけの乗用車に比べて何と尊いのでしょう。
鉱山の多いコロンビアでも、コマツへの信頼はとても強く中古でも値崩れしないと聞きました。世界シェアはアメリカのキャタピラーに次いで第2位です。
先日、氷河期世代が企業からひどい扱いを受けたという体験が次々とSNSにアップされましたが、コマツは例外。
氷河期新卒時代に常駐したとあるメーカーは、外部の新卒にも自社の新卒と同様に扱うところだった。毎日が勉強の日々で心穏やか。以来、コマツの製品を見るたびにお世話になりましたと懐旧する。
「残念なのは個人で買うのはむずかしい製品が主流なこと」とコメントがありました。たしかにブルドーザーや油圧ショベルは無理ですが、コマツの株なら買えます。資産のほとんどをニューヨーク市場で運用していますが、新NISAの成長投資枠は日本株に使っており、真っ先に買ったのがコマツで、買買い増しを続けています。コマツは海外売上高比率が90%を超え世界に200以上の拠点を持つグローバル企業。配当もありますし、ずっと持ち続けたい銘柄のひとつです。

金沢旅行では小松に立ち寄り駅前のコマツの杜へ。JALで移動するので小松空港が近いのも便利です。堂々とした建設機器が展示され、社史の展示もあります。
創立者の竹内明太郎は1860年土佐生まれ。父は自由民権運動に奔走した藩士で異母弟に吉田茂がいます。鉱山業に従事し「鉱山は掘り続ければなくなるが工業技術は新たな産業を生み出す力がある」と考え小松鉄工所を起業したのが、コマツの原点。教育にも力を入れ、高知に工業学校を創立し早稲田大学理工科設立にも尽力したという模範的な事業家です。
温泉宿に都市、企業など推しを次々と作っていけば、退屈することなく楽しく暮らしていけそう。足を運ぶ体力や気力がなくなったら、それはもう人生の終焉が近いということなんでしょう。













