翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

一家に一冊『鬱の本』

お花見に近所の公園に行ったら、入学式帰りの新一年生たちにたくさん会いました。ぴかぴかのランドセルを背負って、どの子もうれしそう。

若い人たちにとって春は始まりの季節ですが、人生のゴールが視界に入って来ると「あと何回、お花見ができるだろうか」と考えてしまいます。この季節は寒暖差も激しく、体調を崩して精神的にも不安定になりがちです。

 

とはいえ、毎日好きなように暮らしている私は友人から「同年代であなたほど楽しそうに暮らしている人はいない」と言われます。親を見送って介護は卒業、子供がいないから気を揉むこともありません。お金と健康の不安もなく、行きたいと思ったら気軽に旅に出る日々です。こんなに気楽でいいのだろうかと世間に申し訳なく思いますが、実家は鬱の家系なので私も発病する可能性があります。何しろ世俗的な欲が強く鬱とはまったく無縁そうな近親者が自殺未遂までしているのです。

 

そこで点滅社の『鬱の本』を手に取ってみました。詩人、文筆家、漫画家、編集者、書店やカフェのオーナーなど84人がさまざまな「鬱」について語っています。この本、薬のように一家に一冊、常備しておくといいかも。

あいうえお順で並んでいて、しょっぱなに出てくるのが青木真兵『鬱ベースの社会に』。

「テクノロジーの発展により身体という面倒くさいものを排除して脳だけを使うようになった現代社会に対するアラームが鬱。だから、人間は鬱をベースに社会を構築するべきだ」という流れに深く共感しました。命がけで狩りや漁に出たり、額に汗して畑を耕して作物を収穫していた時代には、鬱になる暇なんてなかったでしょうから。

 

最高だったのが瀧波ユカリ『Life Goes On』。

適応障害で朝から晩まで心配ごとが頭の中をぐるぐる回り、少ししか食べられずなかなか寝付けない日々。ようやく元気だった頃の7割くらいまで調子が戻ってきたところで友人たちが次々とBTSにハマり、話についていくためにメンバーの顔と名前を覚えることにしたそうです。

7人それぞれに呼称が複数あって難易度が高い。プロフィールなども読み込んで、ふと気付くと3時間経っていた。それだけの時間、心配ごとが頭に浮かばなかったのは久ぶりだった。

わかる! 私も最初はメンバーを見分けることができず、さんざん検索して時間を溶かしました。「いい年をして何やってるのか」と恥ずかしく思う反面、あんなに楽しい時間はありませんでした。

 翌日はYouTubeで動画を見ることにした。鍛錬によって磨き上げられた、完璧なルックスと歌とダンス。顔と名前と声と動きを一致させるべく必死に見ていたら、また3時間経っていた。頭がすっきりして、気分がいい。人間はずっと「美」を見つめていると体調がよくなるらしい。

 1日3時間のBTS研究を始めて1週間。なんと、なかなか戻らなかった残りの3割が戻ってしまった。ごはんがすいすい食べられ、目を閉じると眠れる。私には自分を忘れる時間が必要だったのだ。不安なことやつらいことを忘れて、美しい何かに夢中になれる時間が。

 

昨年の韓国旅行はBTS聖地巡りでとても楽しいものとなりました。釜山での一番の思い出はジミンが中学時代に通った食堂。タクシーの運転手さんが一生懸命調べてくれて、迷路のような商店街で目当ての店までたどりつけました。

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ソウルではBTSの寮だった場所がカフェになっていて、おいしいパンとコーヒーを楽しみました。

 

BTSのファンになったきっかけは、スポーツクラブのダンスレッスン。「踊るために許可はいらない」というフレーズに励まされて、老婆になっても体が動くうちは踊り続けようと決意したのです。


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