翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで重版になりました。

桜に誘われ、秋田の金浦へ

先日の1泊2日の那覇行きは思いつきでしたが、それとは別に月に一度、計画を練って旅に出ています。ただし、行先はJALの「どこかにマイル」任せ。1か月前から申込めます。

青森、秋田、大分、熊本という東北と九州の組み合わせを選んでみました。4つの候補地のどこになっても楽しめるはず。

 

結果は秋田。宿はサウナ検索サイトの「サウナイキタイ」で探します。

ドーミーインもあるのですが、秋田は青森と並ぶ公衆浴場天国。ホテルを併設しているユーランドホテル八橋の評価が高いので行ってみることにしました。

 

名水が湧く地には、いい水風呂があります。秋田の水風呂も肌に柔らかい名水でした。

ユーランドホテルには、フィンランドをイメージしたコワーキングスペースもあり、食事処かっぱ亭の料理は絶品。春野菜とタコのサラダ、白身魚の紫蘇包み揚げなど秋田の地酒が進みます。1週間ぐらい滞在したいと思ったほどです。

 

かっぱ亭のテレビにNHKのローカルニュースが流れていました。

秋田市の桜は咲き始めですが、県の南部「にかほ」では満開とのこと。地名の読み方はどこも独特です。「にかほ」は「仁賀保」。ネットで検索するとJR羽越本線で1時間の距離です。たまたまこのニュースを耳にしたのも何かの縁ですから、行ってみることにしました。

 

秋田を代表する桜の名所は仁賀保駅の一つ先、金浦(このうら)駅の勢至(せいし)公園です。

午前9時11分に秋田駅を出発し、戻りの電車は午後1時11分。約3時間の滞在です。数分おきに電車が発着する東京の感覚とは別世界。秋田駅Suicaで乗っても金浦では出られないかと思ったのですが、秋田駅の改札からしSuicaに対応していませんでした。

 

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観音潟を取り囲むように桜が満開。

平日の午前中だったせいか、花見客はちらほらとしかいません。異世界に連れていかれそうな幻想的な風景を満喫しました。

 

満開の桜をたっぷり愛でて、時間は午前11時を回ったところ。秋田行きの電車が来るまでの2時間近くをどう過ごせばいいのでしょう。Googleマップでカフェを見つけて行ってみました。

美術品の展示スペースのような個性的なカフェです。扉を開くと、ランチ用にセッティングされた席が目に入りました。お昼は金浦駅のおにぎり屋さんと決めていたので、「お茶だけでもいいですか?」と声をかけると「どうぞ、どうぞ」という温かい歓迎の声。広いテーブルに案内されました。

 

「酒田から? 福島から?」と聞かれて答に詰まりました。秋田ではコロナ感染が増えていますから、東京からの客なんて嫌がられるかもしれません。でも、こんなに歓迎されたら嘘もつけないので、東京からと答えました。

 

カフェの女主人は金浦の人ではないけれど、秋田出身で東京に行き、秋田に戻ったそうです。金浦駅の図書館に毎日通っているうちに「図書館の帰り道にコーヒーを飲める場所があるといいのに」と言っていたら、地元の人たちから「それならここで」「開店はこの時に」と、あれよあれよという間に開店の運びになったそうです。

 

自分好みのカフェを開きたいというのは、多くの女性の夢ですが、そんなにスムーズに実現できる場所があるとは! 開店のストーリーを聞いているだけでうっとりしてきました。そして、秋田から金浦までの路線から眺める海辺の夕日は、涙が出るほど美しいし、秋田の温泉と地酒を巡る旅はなかなか終わらないこと。

 

お昼時に近くなったので、ランチタイムのお客さんのために店を出ました。金浦駅にはおにぎりと麺類の店があり、やさしいお母さんのような女性が接客と調理を担当しています。鉄道に乗らない人も昼食のためだけに来店する人気店です。

そして、食後は階段を上って図書館へ。電車を待つための時間つぶしですが、司書の方もとても感じがよくて、本に囲まれた心地良い時間を過ごせました。

 

秋田への旅を終えて自宅に戻り、なんてすばらしい体験ができたのだろうとしみじみ思っています。海沿いのあの街のカフェでは今日もランチとコーヒーが用意され、駅ではおいしいご飯のおにぎりが作られて、読まれるべき本が図書館に並んでいる…そんな街が日本にあると知っただけで幸せな気持ちになります。