翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで重版になりました。

2024-01-01から1年間の記事一覧

年寄りでも冷や水!

旅に出て東京を離れることが多いのですが、月曜日はヒップホップのクラスがあるので自宅にいるようにしています。数週間かけて練習して一曲を完成させるので、休むわけにはいかないのです。 bob0524.hatenablog.com 2022年の夏に始めて、3年目となりました…

五所川原で考える親ガチャ

五所川原の旅、第三弾。 行きの飛行機で太宰の『津軽』を読み返しました。クライマックスは、太宰を3歳から6年間育てた子守りのたけとの再会。太宰は「生まれてはじめての心の平和を体験した」と表現するぐらい感動しています。 先年なくなった私の生みの…

太宰治のパリ、吉幾三のニューヨーク

太宰治が最も好んで口にしていたというヴェルレーヌの詩の一節。 選ばれてあることの 恍惚と不安と 二つわれにあり 子ども時代の太宰がよく遊んだという芦野公園の文学碑にも刻まれています。 太宰は東大の仏文科に入学しているので、フランス文学が好きだっ…

50 年越しの斜陽館

9月の旅は青森。東京では暑い日が続いていますが、青森はすっかり秋でした。 五所川原で一泊して太宰治の出身地、金木町へ。太宰の生家は大地主で、一家が暮らした豪邸は「斜陽館」と名付けられ、入場料600円で見学できます。 1階11室、2階8室、付属建物…

タコつぼから出る

飲み会で「海外旅行するなら、どこへ行きたいか」という話題になりました。私が行きたいのはコロンビア。ガルシア・マルケス『百年の孤独』のマコンド村のモデルであるアラカタカを訪れてみたいのです。 その数日後、「あなたが話していたコロンビアの小説、…

物欲はやはり消滅していなかった

昨年のスペイン巡礼では、自分が背負えるだけの最低限の荷物で歩いたので、物欲がまったくなくなりました。 bob0524.hatenablog.com しかし日本に帰って物質文明に囲まれていると、欲しいものが次々と出てくるのです。 手書き用の文房具コレクションは趣味。…

ニセコと資本主義

北海道のニセコに行ったのは、日本国内で展開されている資本主義の最前線だから。ラーメンが3000円だとか、時給が低すぎて(他業種時給が高すぎて)介護職員が集まらないなど報じられていますが、自分の目でニセコを見て今後の相場の動きのヒントを得たかっ…

できるだけ若いうちに旅に出る

北海道ニセコの旅。ツアーの総勢は20名で、お盆明けの5連泊という日程ですからリタイアした高齢者がほとんどでした。 後半の2日間は終日自由行動となり、昼食と夕食は各自で食べます。ホテルの大浴場の露天風呂で同じツアーの女性と話をしたのですが、「め…

クレーマーにならないために

灼熱の東京を離れて、ニセコにいます。レンタカーじゃないと動きにくいと聞き、久々のツアー利用です。 予約時に航空会社は未定だったのでLCCも覚悟していたのですが、JALに決定。 JALの羽田・新千歳便となると思い出されるのが長谷川岳。客室乗務員に非常に…

確証バイアスと地面師たち

Netflixの「地面師たち」、評判通りのおもしろさでした。 実際に起きた積水ハウス地面師事件のドラマ化。あんな大企業が巨額の土地取引でだまされるなんてあるわけないと思うのですが、事実は小説より奇なり。実際には、ドラマよりずさんなチェック体制でま…

女優になる

阿佐ヶ谷七夕ウラナイまつりが無事に終わり、ほっとしています。 今回、対面鑑定デビューの新人占い師もいれば、お金を払って占いをしてもらうのが初めてというお客さんもいました。 おおむね好評だったのですが、辛口の感想が一つ。 「占い師さんが『私は初…

阿佐ヶ谷七夕まつりでサービス業体験

阿佐ヶ谷七夕まつりの占いイベント、開催中です。 uranai8.jp 夕方6時から9時までお客様をお迎えしたり、ドリンクやフードの注文をまとめる係をしています。 本業のライター業は原稿をメールで送ることが多く、人に頭を下げることはめったにありませんでし…

此岸と彼岸が交差する夜

毎年恒例の阿佐ヶ谷七夕まつりが始まりました。 地元民にとっては、商店街がどっと混んで日常の買物もできなくなる不便もありますが、夏の終わりを告げる季節の風物詩です。 暑い日が続いていますが、8月7日の立秋で暦の上では秋の到来。東洋占術の講座では…

登別で実感する経済格差

静かなカルルス温泉に三泊し、バスで登別温泉まで戻り夫と合流。宿以外に何もなかったカルルスから、一気に都会に戻った気分。コンビニや飲食店が立ち並び、外国旅行者も目立ちます。 前回、第一滝本館での体験がすばらしかったので再び泊まることにしました…

登別カルルス温泉で現代版湯治

酷暑の東京を離れ、北海道へ。JALのバーゲンで札幌行きのチケットを買っておいたのです。 今回は登別カルルス温泉で湯治。 子どもの頃、ツムラの入浴剤のCMで「登別カルルスの湯」というフレーズを耳にして、その不思議な響きに心惹かれ「いつか行ってみたい…

パリの思い出

パリオリンピックが開幕。昨年秋のスペイン巡礼のために訪れたパリの思い出がよみがえりました。フランス文化に触れてパリの美しさを愛でるような優雅な滞在ではなく、ドタバタしながら通り過ぎただけですが、巡礼路以上に記憶に残っています。 というのも、…

キャットレディーでも惨めな人生じゃない

共和党の副大統領候補が『ヒルビリー・エレジー』の著者J.D.ヴァンスだと知ったのが先週のこと。 bob0524.hatenablog.com その後、民主党の大統領候補がジョー・バイデンからカマラ・ハリスになり、おじいさん同士の対決で見どころのなかった大統領選がいき…

阿佐ヶ谷七夕ウラナイまつり

8月9日から12日までの4日間、「阿佐ヶ谷七夕ウラナイまつり」を開催します。日替わりで4人の占い師が出ます。 uranai8.jp このイベントが始まったきっかけは、阿佐谷北口のスターロード商店街のお祭りで、なじみの飲み屋さんのママから「占いをやってほし…

北原白秋が見た空と日光

7月の旅はJALの「どこかにマイル」。行き先が福岡になったので、柳川を旅することにしました。 柳川に行きたかったのは、北原白秋の生地だから。 東洋占術の陰陽五行、木火土金水は季節や色も司ります。木が春で火が夏、金が秋、水が冬、季節の変わり目が土…

ヒルビリーを遠く離れて

世界を震撼させたトランプ前大統領銃撃事件。大統領選への影響も大きいとあって、報道が続いています。 驚いたのは共和党の副大統領候補がJ.D.ヴァンスだったこと。彼が書いた『ヒルビリー・エレジー』に衝撃を受けたのは5年前のことです。 bob0524.hatenab…

狂わずにいるためには、狂わなくてはいけない 『統合失調症の一族』

『統合失調症の一族』、副題は「遺伝か、環境か」。あまりにも衝撃的な内容でした。 表紙のビジュアルにも圧倒されます。階段の一番上には父のドン、そして母のミミ。長男から順番に九男まで並び、長男が抱いているのは十男です。さらに驚くのは、この下に長…

長生きが喜ばれない時代

組織に属さずフリーランスで30年以上働き、子供を持たなかったので、加齢の感覚が世間とずれています。斜陽の雑誌業界には若いライターが参入してこないのか、引退を申し出ても後任が見つからないという理由で続いている仕事もあり、高齢者の自覚がなかなか…

ロビー・ロバートソンの晩節

田舎の女子高校生だった私に広い世界を垣間見せてくれたのが、ボブ・ディランとザ・バンド。無味乾燥な教科書の英語には興味が持てませんでしたが、彼らの曲の意味が知りたくて英語を学びました。 ボブ・ディランは元気そうですが、ザ・バンドの5人のメンバ…

旅も人生もバッファが必要

スペイン巡礼の体験記で「何日までにゴールしなくてはいけない」と苦しそうな表現を見かけることがあります。限られた休暇で歩くとなると、そうなるとしかたがないでしょう。 昨年秋の巡礼は、いたって気楽でした。体の調子に合わせてゆっくり歩けたから。最…

八戸で不耕貪食(ふこうどんしょく)を恥じる

JALの「どこかにマイル」で旅に出ることが多いので、セールがあると「どこかにマイル」になかなか出ない空港に飛びたくなります。 今回選んだのは、三沢空港。行きも帰りも満席でした。訪日客より日本慣れした印象の外国人乗客が多く、米軍関係者が休日を東…

無念のうちにこの世を去った人々に思いを馳せる

「妊娠したら、街を歩いてて小さな子どもがよく目につくようになった」という話がありますが、何かのきっかけで普段あまり意識していなかったことが急にクローズアップされることがあります。 映画『関心領域』を観たことで、欧米の著者による本を読んでいる…

想像力をシャットアウト 映画『関心領域』

ポーランド映画『関心領域』がずっと話題になっていましたが、やりすごしていました。スペインから帰国する頃には公開が終わっていて観ないで済むと思っていたのです。ところが、話題の映画だけあってロングラン。これは観ておけということなんでしょう。 ww…

アップデートできない高齢者

NHKのクローズアップ現代。女性たちが地方を出て、消滅の危機に瀕している自治体が全国744もあると報じられています。 www.nhk.or.jp ブログ仲間の貯め代さんによると、地元の町内会では時代錯誤のおじいさんたちが牛耳っていて、地方在住の本音として「もう…

ボーダーレス化する世界

昨年に続いてスペインを歩いてみて、日本の外に出ないと私は息が詰まって内向き志向になっていくと実感しました。単なる外国好きと言ってしまえばそれだけですが、日本の外に目を閉ざして生きていくのはむずかしい時代です。 JALのスマートフォン決済サービ…

ようやく反旗を翻した体

昨年の七週間にわたるスペイン巡礼では、ゆっくりしたペースだったこともあり、身体面での問題は起こりませんでした。 今年はサリアから五日間だけということで、すっかり慢心していました。三日目の終盤でひどく疲れてやっとのことで宿に到着。夫とは歩くス…