北海道ニセコの旅。ツアーの総勢は20名で、お盆明けの5連泊という日程ですからリタイアした高齢者がほとんどでした。
後半の2日間は終日自由行動となり、昼食と夕食は各自で食べます。ホテルの大浴場の露天風呂で同じツアーの女性と話をしたのですが、「めっきり食が細くなったので、外食は量が多すぎる。カップのにゅうめんとサトウの切り餅を持ってきた。お餅は電子レンジで温める」と言うのです。旅先の食事に私もあまり執着しませんが、ホテルの部屋でカップ麺はちょっと…。麺とお餅では栄養バランスも悪いし、部屋で食べるならせめてセイコーマートのお惣菜にします。
ツアーの日程にはニセコ近郊の神仙沼のハイキングがありました。ネイチャーガイド2名が来てくれて、2キロの道のりを1時間ほどかけて歩きました。平坦な道でしたが、前夜の雨で木道が滑りやすいので要注意です。高齢者の多いツアーということもあり、添乗員さんは「歩きたくない人はバスで待ってもらって大丈夫ですから」と強調していました。
スペイン巡礼で700キロを歩いた私はウォーキングが得意のようでいて、平坦な道でよく転びます。景色を観るより足元に集中して歩いていましたが、同行者に転ぶ人が出ました。露天風呂で話したカップ麺持参の女性です。
転んでも何とか歩いていたのですが、帰り道でまた転倒。二度も転んで、骨折はしていないようだけど念のため病院へ。ちゃんと旅行保険をかけてきたそうです。
少し残っている仕事も旅先でリモートでこなせるとあって、いつでも旅に出られるようになりましたが、いつまでも旅を続けられるわけではないと改めて感じました。体力も判断力も衰えたら知らない土地へ行くことが面倒になるでしょう。今回のような添乗員付きのツアーでも、思わぬアクシデントがあります。やはり、旅は行けるうちに行っておかないと。
ビル・パーキンスの『DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)』を思い出しました。
「経験に投資」という言葉がでてきます。経験が残りの人生でもたらす喜びは「記憶の配当」。だから「なるべく若いうちに、やりたいことを体験しておけ」という教えです。そして、人生で一番若いのはいつだって「今」です。
BS朝日の『サウナを愛でたい』で毎週見ているヒャダインも、『DIE WITH ZERO』を読んで、旅行は早く行ったほうがいいと話しています。
「お金を貯めておいて、60代・70代になったら行こう」なんて思ってたら、それだとあと10年20年しかその旅行の話をしゃべれない。でも20代に行ったら、その話を60年くらいできると。
気ままに動けるのはあと数年と踏んでいます。
昨年は7週間スペイン巡礼のフランス人の道を歩いたわけですが、その時知り合った人から「今年はポルトガル人の道へ」「北の道を歩いている」といったメールが届きます。すばらしい体験だったので、別の道を歩く気満々だったのですが、日本に帰ってみるとまたスペインに行く気力が奮い立ちません。去年がぎりぎりの年齢だったのかも。行ってよかったとつくづく思います。巡礼の7週間を思い出すたびに「記憶の配当」のありがたさを感じています。
今回、お世話になったホテル。夏はオフシーズンで、大浴場もメンテナンス工事中でした。スキーができる冬は宿泊料金が高騰し、外国から来た富裕層でにぎわうのでしょう。