昨年のスペイン巡礼では、自分が背負えるだけの最低限の荷物で歩いたので、物欲がまったくなくなりました。
しかし日本に帰って物質文明に囲まれていると、欲しいものが次々と出てくるのです。
手書き用の文房具コレクションは趣味。かわいいメモ帳を見るとつい買ってしまうし、ボールペンやサインペンの新製品は書き心地を試したくなります。
さらに子供の頃からバッグ類が大好き。千手観音でも持ちきれないほどのバッグを所有しています。
『百年の孤独』文庫化を記念して発売されたブエンディア一族家系図のトートバッグ。新潮社ショップのサイトで思わずカートに入れましたが、予約購入で発送は入荷次第。そこで少し冷静になりました。今、所有しているトートバッグは何個? フィンランドのブックショップやスーパーで調子に乗って何個も買ったのでは?
『百年の孤独』は読み出したら止まらなくなる愛読書ですが、トートバッグで家系図を確認することはまずないでしょう。
結局、『百年の孤独』への物欲は同名の焼酎で満たすことにしました。
スペイン巡礼でずっと履いていたトレッキングシューズは、さすがにくたびれてきました。ニセコの旅で神仙沼トレッキングがあるというので新宿のモンベルへ。
トレッキングシューズの紐をいい加減に結んで途中でほどけることもありました。フランス人の道を一緒に歩いた韓国人のスンニが履いていたのがダイヤルを回して紐を調節するタイプでうらやましく思っていたのが、ようやく買えました。
本格的な登山はしないので、街歩きもできるローカットタイプ。もう歩くのはすべてこの靴でいい。ゴアテックスで雨にも強く、ぐっしょり濡れた神仙沼の木道を転ばずに歩けたのもこの靴のおかげです。
先日、必要があってパンプスを履いたら歩きにくくてたまりませんでした。高齢者の靴は見た目より歩きやすさと安全性第一です。
ファッショナブルな衣料品や高価なブランド品は買わないけれど、消耗品の靴はくたびれたら買い替えても罰は当たらないでしょう。必要なものと不要な物を見極めて、趣味の文房具コレクションぐらいは続けることにしました。紙製品やペンなら死後に処分するのも簡単だろうし。
ちなみに、ライター業が多忙だった時代は、メモをこんな風に活用していました。
Nothing is particularly hard if you divide it into small jobs.
(何事も、小さな仕事に分けてしまえば、大してむずかしいことではない)
今は毎日の家事や断捨離に、この言葉を唱えています。