翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌やビジネス誌の原稿書きを30年。現在はリタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。2025年夏、ガルシア=マルケスの作品舞台となった地を一目見たくてコロンビアへ。ウラナイ8https://uranai8.jp/で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで四刷になりました。

自分だけの儀式

メイ・サートンの日記シリーズを読むと、彼女が一人暮らしで節度を保ちながら楽しく生きたのは生活に儀式を確立していたからだとわかります。

夕食のテーブルには必ず花とワイン。「すべては、客人のために整えられたかのように。そして、客は、ほかならぬ私なのだ」と、注意深い召使のようにセッティングするのです。

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ネットで岸田奈美の「誰もが小さな”自閉”を持って生きてる」という文を読み、儀式の重要性を改めて感じました。note.kishidanami.com

自閉スペクトラム症の人は強い不安を感じると、自らを傷つけるような危険な行為(強度行動障害)を起こすことがあります。その理由のひとつが「強いこだわり」。

 

Netflixで観た「ウ・ヨンユ弁護士」も自閉スペクトラム症。食事に強いこだわりがあり、ショッキングな場面に出くわすと強度行動障害を起こしていました。

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岸田奈美が教わった講師は「こだわりという言葉ではなく儀式(セレモニー)と呼んでいる」と言います。

起床から家を出るまでの予定を分刻みで決めている自閉症の人は、時間が1分でもずれたり、順番がずれると混乱して動けなくなるそうです。

これをこだわりではなく、儀式(セレモニー)だと考えれば理解できます。結婚式で牧師が指輪交換と近いの言葉の順番をまちがったり、葬式で僧侶がお経を省略したら、参列者は納得しないでしょう。

そこから岸田奈美は「誰でも、小さな自閉を持っている」と考えます。周囲に合わせて少しぐらい変えることができるけれど、自分の儀式がまったく執り行えなくなったら自閉症でなくてもいつかは爆発します。

 

たとえば私が属している占い業界。タロットカードで占うとき、私はお客にシャッフルもカード選びも任せますが、中にはお客には絶対に触らせないという占い師もいます。その占い師にとっては自分だけでカードを扱うことが、重要な儀式なのですから「そのやり方ではお客さんは満足しない」なんて絶対に言ってはいけません。

 

私にとって一日を始める儀式はTO DOリストを書くこと。多くの人がやっていることでしょうが、A6サイズのキャラクター付きダイカットメモに鉛筆で書くのが私のこだわりです。チラシの裏にボールペンで書くのは絶対にいやです。

タスクが大きすぎると片付けていく達成感が得られません。雑誌や書籍の原稿はページ単位ではなく、小見出しごとにするなど、仕事を始めてから微調整したいので、消しゴムで消せる鉛筆がいいのです。完了したタスクはメモの色に合わせた浸透印スタンプを押すのも儀式。原稿書きが少なくなった今は、家事なども書き込んでいます。「キッチン掃除」ではなく「キッチンの床を拭く」「シンクを磨く」などタスクを細分化するのは仕事と同じです。

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気に入ったA6サイズのメモやスタンプを見つけるたびに買い込んでいるので、死ぬまでに使い切れるかと思いますが、自分だけの儀式だと考えれば文房具に散財しても許されるのでは。

 

夕食付のスペインの巡礼宿で出てきたカレーライス。

オランダのカトリック教会が運営している巡礼宿で、食前の祈りもしっかりありました。お米が食べられるので大喜びしましたが、パンは断りました。欧米の食卓では回ってきた皿から各人が順に取っていくスタイルです。わがままな巡礼者と思われないように、日本人は米が主食で神聖な食べ物であり、米が出たらパンは一緒に食べないと説明。食事も一種の儀式ですから、外国人と同じ食卓ではしっかり話す必要があります。