翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌やビジネス誌の原稿書きを30年。現在はリタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。2025年夏、ガルシア=マルケスの作品舞台となった地を一目見たくてコロンビアへ。ウラナイ8https://uranai8.jp/で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで四刷になりました。

ガルシア=マルケス

推し活の危険性を知る『イン・ザ・メガチャーチ』

「推し」という言葉が広まり、推し活は癒しや生きがいの一つとされつつあります。 そんな風潮に一石を投じる朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』。 イン・ザ・メガチャーチ (日本経済新聞出版) 作者:朝井リョウ 日経BP Amazon タイトルはアメリカの「チャ…

自分のために書く

仕事をほとんどしていないので暇なのですが、けっこう時間をかけているのが、このブログとウラナイ8の執筆。ブログがだいたい週2回更新で、ウラナイ8は土曜日のデイリーメッセージを担当しています。 www.uranai8.jp 35年以上、商業ライターとして文章でお…

コロンビア化する日本

コロンビアの旅の前に、ガルシア=マルケスの全著作を読みました。再読を重ねている『百年の孤独』『コロナの時代の愛』といった小説に加え、ノンフィクション作品にも改めて感銘を受けました。 誘拐の知らせ (ちくま文庫 か 5-3) 作者:G・ガルシア=マルケ…

過度に恐れず、油断せず

コロンビアには一生、行くことはないだろうと思い込んでいたのは、ガルシア=マルケスの『誘拐の知らせ』を読んだから。 誘拐の知らせ (ちくま文庫 か 5-3) 作者:G・ガルシア=マルケス 筑摩書房 Amazon ノンフィクションですが、ガルシア=マルケスの筆力…

日本人作家の推しは誰?

ガルシア=マルケスが生まれたアラカタカ、学生や記者として過ごしたバランキージャ、カルタヘナ、シパキラも訪れた夢のようなコロンビア旅行。 首都ボゴタの国立図書館のガルシア=マルケス展が旅の締めくくりとなりました。 bob0524.hatenablog.com 日本関…

丸腰で世界に向かうな

好き放題に世界を旅するライフスタイルを目指しているのですが、準備がなかなか大変です。 スペイン巡礼では、歩けるところまで歩いてアルベルゲ(巡礼宿)に泊まればいいと考えていたのですが、巡礼者が増加してそんな気ままな旅は不可能に。宿を予約して歩…

カルタヘナでガルシア=マルケスの聖地巡礼

『百年の孤独』の舞台であるアラカタカからバランキージャに戻り、カルタヘナへ。 大航海時代、スペインの船団にとって初めてのアメリカ大陸寄港地で「ラテンアメリカの黄金の扉」と呼ばれた都市です。今は多くの大型クルーズ船が寄港します。 コロナ前の201…

アラカタカで政治に巻き込まれ作家になる

『百年の孤独』の舞台、アラカタカの街を散策していると、教会前の広場から音楽が聞こえてきました。音楽が終わると何かのスピーチ。選挙運動なのでしょうか。ガルシア・マルケスの短編にもよく出てくる光景です。 2匹の犬まで熱心に耳を傾けているのがおも…

迷宮のマコンドからアラカタカへ

ボゴタで現地の日本人ガイドと合流して空路でバランキージャへ。コロンビアの旅行業界で働く唯一の日本人です。 ガルシア=マルケスが小・中学校時代を過ごし、ジャーナリストとして働いた街です。母のルイーサ・サンティアガが「実家を売るためにアラカタカ…

『百年の孤独』を代わりに旅する

『百年の孤独』は読者を選ぶ本です。私の場合は続きが読みたくて夢中になり気がついたら夜明けになっていました。その一方で、最初の1ページで投げ出したという人も多いのでは。 そんな人にはこの一冊を。 『百年の孤独』を代わりに読む (ハヤカワ文庫NF) 作…

東京大学文学部で『百年の孤独』を学ぶ

易者にとって一年で一番忙しいのは、陰が極まって陽に転じる冬至の日。一年の成り行きや指針を得る年筮を立てる日です。 だったら陽が極まって陰が転じる夏至にも何かしようとウラナイ8の天海玉紀さんと始めた会。 note.com 陽が極まる日だからこそ、自らの…

70代でも挑戦できるだろうか

7月のコロンビア行きを前に、ガルシア=マルケスの著作を大急ぎで再読しています。 国際港湾都市のカルタヘナを舞台にした『コレラの時代の愛』。 最初に読んだ時は、51年9ヵ月と4日も初恋の女性を思い続けるというストーリーを追うだけで精一杯でした。娘…

帯広版『百年の孤独』

JALの「どこかにマイル」で帯広へ。 4つの候補に選んだのは、帯広、宮崎、鹿児島、石垣。4月上旬だと帯広はちょっと寒いかと思ったのですが、街を歩きやすい快適な気候でした。 かねてから行きたかったオベリベリ温泉水光園へ。 「オベリベリ」という不思…

タコつぼから出る

飲み会で「海外旅行するなら、どこへ行きたいか」という話題になりました。私が行きたいのはコロンビア。ガルシア・マルケス『百年の孤独』のマコンド村のモデルであるアラカタカを訪れてみたいのです。 その数日後、「あなたが話していたコロンビアの小説、…

物欲はやはり消滅していなかった

昨年のスペイン巡礼では、自分が背負えるだけの最低限の荷物で歩いたので、物欲がまったくなくなりました。 bob0524.hatenablog.com しかし日本に帰って物質文明に囲まれていると、欲しいものが次々と出てくるのです。 手書き用の文房具コレクションは趣味。…

日本人はやっぱり勤勉

62歳の誕生日を迎えて、厚生年金がもらえることになりました。会社員だったのは数年間なので微々たる金額。繰り下げるのも面倒で、規定通りに受給することにしました。ヒップホップを踊る年金受給者です。 隣の駅の年金事務所に行くのは3年ぶり。母が亡くな…

マジックリアリズムとドラマの脚本

NHK朝ドラ『ちむどんどん』がようやく終盤。 半年間の長丁場ですから、帳尻合わせの回ができてしまうのはしかたがないのでしょうが、斜め見していても首をかしげることばかり。毎朝の感動までは要求しませんが、あまりにも安直な展開が続くと、このドラマは…

コロンビアへ行きたしと思へども

本格的な老いに突入する前にコロンビア行きの野望を抱いていました。 bob0524.hatenablog.com 愛読しているガルシア=マルケスに加えて、ずっと熱中しているズンバの創始者ベト・ペレスもコロンビア人です。 bob0524.hatenablog.com コロナによってコロンビ…

食欲は幻想

伊豆高原のやすらぎの里から俗世に戻りました。 健康的なライフスタイルを身に付けるはずだったのですが、誘惑が多く元の木阿弥になりつつあります。 やすらぎの里の大沢代表は「日常生活でエクササイズの習慣があるのなら、ここではのんびり過ごしてくださ…

海を眺めながら読むガルシア=マルケス『生きて、語り伝える』

四月中旬、伊豆やすらぎの里の1週間滞在はお天気に恵まれ、連日快晴。 この旅は「海を一望するテラスで本を読みたい」という一念から実現したものです。 その本はガルシア=マルケスの自伝『生きて、語り伝える』。 帯の文からしてそそられます。 「何を記…

物語を旅し、いつかはメキシコへ

当たり前のように思っていた旅する自由がコロナによって奪われ、改めて旅について考えました。 コンフォート・ゾーンで暮らしていれば楽なのに、人はなぜわざわざ旅に出るのか。 その理由の一つは、物語のためでしょう。豊かな社会になると食べて寝るだけで…

幸運から生まれた『百年の孤独』

東京のコロナは一向に収まらず、梅雨の長雨をさらに気の重いものにしています。 「マコンドでは4年11カ月と2日雨が降り続いたのだから」と、ガルシア=マルケスの『百年の孤独』をまた読みたくなりました。ジャーナリストだったガルシア=マルケスは、具体…

蜃気楼の国に生きる ガルシア=マルケス『百年の孤独』

台風到来の日よりも、各地の被害が報じられるその後の日々のほうがいたたまれない気持ちになります。 ガルシア=マルケスの『百年の孤独』を手に取りました。降り続いて止まない雨からの連想です。再読にもかかわらず一気に読了。昼前から読み始め、休息も挟…

楽しい没落の国、スペイン

日本語教師を辞めて自由な時間ができたら、南米に行こうと考えていました。 一番行きたいのはコロンビア。生きる喜びを感じるズンバを発案したのはコロンビア人のダンサーだから。そして、愛読しているガルシア・マルケスの国だから。 しかし、南米は遠い。 …

人はパンのみに生きるにあらず 映画『ニューヨーク公共図書館』

映画『ニューヨーク公共図書館』をようやく観ることができました。 神保町の岩波ホールでは連日、行列ができているとのことで、行く気になれませんでした。当日の朝、整理券を求めて窓口に並ぶという旧式システムで、ネット予約ができません。 4年前、フラ…

フェルミーナ・ダーサの断捨離

ジェーン・オースティンと同じように、夢中で読んでしまうガルシア=マルケスの小説。たとえば、「コレラの時代の愛」。コレラの時代の愛作者:ガブリエル・ガルシア=マルケス新潮社Amazonとにかく濃い小説です。 フロレンティーノ・アリーサは、長年フェルミ…

逆ブロークン・ウィンドウ現象

前回のガルシア=マルケス作「この世でいちばん美しい水死人」の続きです。長身で堂々とした体躯、凛々しい水死体を「エステーバンという名前に違いない」と名前を付け、立派な葬儀を準備する村の女たち。 粗末なバラック、石のごろごろした中庭には草花ひと…

どの名前も特別な名前

日本語教師養成講座で語彙コントロール(学習者が学んだ日本語だけを使って授業する)が嫌になると、ガルシア・マルケスが読みたくなります。次から次へと繰り出される言葉によって描かれるマジック・リアリズムの世界。現実と幻想の境目がない不思議な感覚…