夫が一足先に帰国し、台北滞在の後半は一人で3泊。
どこに泊まろうかと検索して見つけたのが、ハーミット・ドーム。タロットカードの隠者、ハーミットを冠した宿なら、ぜひ泊まってみたい。村上春樹の小説で、北海道の宿を決めるのにホテルの名前を片っ端から読んでいって「いるかホテル」に決めたシーンを思い出しました。隠者の宿だから小隠居です。
この2年間、台湾と韓国をけっこう訪れてきたのは、2023年のスペイン巡礼で知り合ったスンヒと再会したかったから。でも、すれ違ってばかりです。
ソウルでスンヒと会えると思ったら、スンヒはスペインの巡礼宿でボランティア仲間として知り合った台湾人男性と結婚するため台北に移住していました。
一昨年は台北で会えるかと思ったら、たまたまソウルに帰省中。今回は3度目の正直のはずですが、今回もスンヒはソウルの実家でした。「不妊治療中で、体外受精を試すのならやはり母国のほうが安心だから」とスンヒ。そういう事情なら、こちらは静かに彼女の幸せを祈るしかありません。
台北には巡礼で知り合った葉さとん楊さんもいます。前回は台北でたいそうなおもてなしを受けました。「次はぜひ日本で」となったのですが、まだ実現していません。連続でお世話になるのも気が引けて今回は連絡しませんでした。
ヘンリク君と張さんとは夫も交えて4人で食事をするはずだったのですが、前日にヘンリク君が台湾一の高峰、玉山(旧名は新高山)に雪山登山して風邪をひいてしまってキャンセルになってしまいました。
結局、張さんと二人でお茶を飲んでお土産を渡しました。漫画『ひらやすみ』と『じゃあ、あんたが作ってみろよ』の二冊。
真造圭伍と谷口奈津子は夫婦で、両作品とも舞台は阿佐ヶ谷近辺。ヘンリク君が初来日してホームステイで3週間過ごした街だから、なつかしいのじゃないかと思って選びました。日本語を学び続けている張さんもおもしろく読んでくれるかもしれないし。
張さんはフィンランドの大学院進学も考えているとのことで、二人はいつまでも台湾にいるわけではなさそうです。
若い人たちはみんな次の展開へと駒を進めていますが、私は隠者として同じ場所にとどまったまま。だからハーミット・ドームにしっくりなじみました。
それでもチェックインの時は「本当にここに宿があるのか」と不安になりました。複数の会社が入っている古い大きなビルでハーミット・ドームの看板は出ていません。入口の守衛のおじさんに聞いても中国語しか返ってこなかったのですが、エレベーターに進むのを止めないので合っているのだろうと17階へ上がりました。
エレベーターの扉が開いた瞬間、リノベーションされたお洒落な空間が広がり、フロントには親切な青年。まだ午前11時なので荷物だけ預けるはずが、「部屋はもう準備できているから」とチェックインさせてくれました。
ドアを開けると、一目で好きになる部屋でした。

窓から基隆河の流れが見えました。台北をもっと知るために、またここに滞在できるといいのですが。

