阿佐ヶ谷七夕ウラナイまつりが無事に終わり、ほっとしています。
今回、対面鑑定デビューの新人占い師もいれば、お金を払って占いをしてもらうのが初めてというお客さんもいました。
おおむね好評だったのですが、辛口の感想が一つ。
「占い師さんが『私は初心者なので』とか『経験がなくて緊張している』と言うのよ。楽しかったし、料金も安かったからいいんだけど、客としては少しモヤモヤした」
こう言ったのは公認会計士にしてMBAホルダーというバリキャリ女性。仕事にシビアなので、こういう感想を持ったのでしょう。客を客とも思わないような偉そうな占い師も嫌われますが、謙虚過ぎるのも考えものです。
日本語教師時代の苦い思い出がよみがえってきました。
初めて教壇に立ったとき、馬鹿正直に新人だと言ってしまったのです。授業後、コストに厳しい中国系の学生がクラス替えを希望しました。「高い授業料を払っているのに、経験の浅い教師に教わりたくない」と。
以来、年齢だけみたら超ベテランに見えるのだから、教師と名乗る以上、自信がなくても堂々とするように心がけました。
占いの館に座ることを「出演」というぐらいだし、占い師は教師以上に演技が求められます。おどおどしていたり、不安がっていてはいけないのです。
占い師、教師に限らず、人生には演技することでスムーズな展開となる場面がよくあります。あまりうれしくなくても、笑顔でお礼を言ったり、悲しくないのに悲しい顔をするなど。
この世は舞台。男も女も役者に過ぎない。舞台を出たり入ったりしながら、与えられた役割を演じているだけ。
All the world's a stage. And all the men and women merely players: They have their exits and their entrances; And one man in his time playes many parts.
シェイクスピアの喜劇『お気に召すまま』の有名な台詞です。
スペイン巡礼の日々があんなに楽しかったのは、帆立貝の貝殻を身に付けて「巡礼者」の役を演じていたから。数多くの思いやりがあって気持ちよく会話してくれる巡礼者に出会いましたが、普通の街で会ったら自己中心的で意地悪な人かもしれません。