翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで重版になりました。

やりたいことの賞味期限

老いを自覚すると同時に、『DIE WITH ZEZRO ゼロで死ね』を折に触れて読み返しています。

uranai8.jp

 

「やりたいことの賞味期限」というフレーズが出てきます。

著者のビル・パーキンスは幼い娘たちと一緒にくまのプーさんの映画を観るのを楽しんでいました。しかし、10歳になった次女にプーさんの映画を観ようと誘ったら、もうそんな子ども向けの映画は見たくないと断られてしまいます。

こうなることがわかっていたなら、もっと娘たちと一緒にこの映画を観たのに!と後悔しても後の祭り。くまのプーさんが好きだった幼い女の子はもういません。「娘と映画を観る」という体験は賞味期限が切れてしまったのです。

 

私たちは皆、人生のある段階から次の段階へと前進し続ける。ある段階が終わることで小さな死を迎え、次の段階に移る。

タロットカードで「死神」のカードが出たらぎょっとしますが、「あなたは死ぬ」と予言されているわけではありません。何かを終わらせて次の段階に移るタイミングを示しているのです。

 

どんなに楽しいことでも、いつか人生最後のタイミングがやってきます。

スポーツクラブの先輩がダンスのクラスからヨガやストレッチに移っていくのを見送りました。私にもその日がやって来ます。だから、踊れるうちは精一杯楽しんでおくべきです。ビル・パーキンスも「人は終わりを意識すると、その時間を最大限に活用しようとする意欲が高まる」と書いています。

 

スペイン巡礼はたぶん、去年の秋が賞味期限ぎりぎりだったのでしょう。今年の夏に最後の100キロだけ歩きましたが、4日目には足が動かなくなりました。

bob0524.hatenablog.com

フランス人の道以外にもさまざまな道があり、昨年知り合った巡礼者のうち何人かは今年も歩いています。私もそうしたいのですが、もう来年は歩かないでしょう。

 

日本語教師になってみようと思い立ったは50代半ばのこと。2年ほどかけて養成講座に通って資格を取りました。すぐに週2回の非常勤講師として教壇に立ち、当時は本業のライター仕事もけっこうあったので、ほぼ休日なしで3年ほど働きました。母の死でいったん休職すると、その後は学校側から復帰を望まれてもまったく気力がわいてきませんでした。60代で教師という体験の賞味期限切れとなったのでしょう。この学校はもともと留学生のホームステイを受け入れたことが縁で、教師として採用されたのですが、ホストファミリーの依頼も今は断っています。留学生がいる間は旅に出ることができず、そうこうしているうちに一人旅の賞味期限が終わってしまいそうだから。

 

地球が丸いことを実感できる室蘭の地球岬

8月の北海道ニセコの旅はツアーを利用したので、公共の交通機関を使って生きにくい場所にも連れて行ってもらいました。参加者の年齢は高めで、リタイアしている人がほとんどのようでした。なるほど、こうしてお膳立てしてもらえる旅なら、高齢になっても続けられます。楽だけど少々窮屈な思いもしたので、できる限りは飛行機や宿は自分で予約する旅を続けていきます。