翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

ゴミの都パリ

8月下旬のスペイン巡礼、まず迷ったのが航空券の購入でした。

マドリード往復か、パリ往復か。マドリードに飛ぶと、パンプローナまで行き巡礼の道を逆行してピレネーを越え出発点のサン・ジャン・ピエド・ポーに向かうことになります。

だったらパリ往復にすればいいのですが、フランスはちょっと苦手です。バックパックに登山靴、トレッキングポールを持って花の都パリに降り立つのは気後れします。マドリードだったらすんなり溶け込める気がします。

しかし、「フランス人の道」を歩くのだから、まずパリに行くべき。サーチャージとか為替の変動を気にすると一生買えません。行きはパリ、帰りはマドリードからに決め、腹をくくって航空券を購入することに。

JALコードシェアしているフィンエアーヘルシンキ乗り継ぎで午前9時半にパリに到着する便が見つかりました。乗り継ぎが勝手知ったるヘルシンキなら安心だし、到着が早ければどんなに迷ってもお昼頃にはモンパルナス駅にたどりつけるはずです。時差ぼけもあるし、到着日は駅近くのホテルに一泊します。そして翌朝はモンパルナス駅から国境の街、サン・ジャン・ピエド・ポーへ。

 

ここまで計画ができたところに舞い込んできたのが、パリがゴミだらけになっているというニュース。

年金受給開始年齢が62歳から64歳に引き上げる法案の抗議デモや無期限ストが始まり、で、ゴミ焼却場が稼働しなくなったというのです。

日本では年金支給開始が60歳から65歳に引き上げられましたが、反対運動が起こった記憶がありません。超高齢化社会の到来が声高に叫ばれていますから、しかたがないと考える人が大半なのでしょう。

それに比べてフランス人の主張の強さ。高齢者のエゴと批判され世代間対立が起きるどころか、若い世代もデモに参加。大半の市民は生活が不便になっても「彼らにも権利がある」とストライキに理解を示しているそうです。

もともとフランスでは「リタイア後こそ、本当の人生」という考えが主流。年金生活者は肩身が狭いどころか堂々とふるまい、若い世代から羨望のまなざしを向けられるそうです。それなのに政府の都合で2年も余計に働くなんてまっぴらなんでしょう。ちなみに他のヨーロッパ諸国の年金支給開始年齢は日本と同じ65歳です。

 

フランス人に対してお洒落でちょっといじわるなイメージを持っていますが、老後を楽しむことにかけては達人の域に達しているのかも。急いでピレネーを越えないでフランス滞在を延ばして、リタイア生活を満喫している高齢者と話してみたい気もしてきました。

旅の終わりはマドリード。ヒースロー乗継ぎで羽田へ。

巡礼を早めに切り上げてスペインの気に入った街でのんびりするのもいいかも。巡礼という意識が徐々に薄れてきて、単なる好奇心を満たす旅に近づいています。