翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

自分の巡礼スタイルを見つける

スペイン巡礼に出る前に経験者の話を聞いたり書籍や体験談を読んで情報をあつめてきましたが、実際に歩いてみないとわからないことがたくさんあります。

特に当てにならないのが必要な日数。1日で20キロ前後を歩くのが標準とされていますが、私にはちょっと厳しい。平坦な道ばかりならいいですが、けっこうアップダウンもあります。

 

実験的にプエンタレイナからエステーラまでの21.6キロを歩いてみましたが、最後の5キロがけっこう大変。歩くことを楽しむどころか苦役になってしまいました。ダンスのレッスンで定期的に運動しているとはいえ、持久力がないのです。そして9月とはいえ、午後になると一気に日差しがきつくなります。午前7時頃に出発してお昼には歩くのを終え、バルでジュースやコーヒーを飲みながら巡礼宿が開くのを待つという気楽なスタイルに落ち着きました。ゴールを目指さず歩けるところまで行けばよしとしているので、無理はしません。

がんばって歩けば体が慣れて長い距離を歩けるようになると本にはありますが、巡礼を終えればたちまち元の体に戻ってしまうでしょう。それに電車が数分おきにやってくる東京の生活では長距離を歩ける能力なんて何の意味もありません。

 

ピレネー越えには万全を期してオリソンの山小屋を予約しましたが、日本カミーノの会の山歩きのイベントで出会った60代半ばの女性から「オリソンには午前10時に着いて手持ち無沙汰だったから、一気にピレネーを超えたほうがいい」とアドバイスされました。山歩きに慣れている人ならそうでしょうが、私にとってはオリソンのに泊まるのが正解でした。

歩くことに徐々に体を慣らそうとして、ピレネー越えの翌日は7キロ弱しか歩かず、韓国人スンニと一緒に宿にチェックイン。宿のレストランでは8人でにぎやか同じテーブルで巡礼メニューを食べました。その中の一人、イギリス人のブラッドリーは、サンジャンピエドポーから一気に歩いて来たと言います。「オリソン、ロンセンバーリェスに泊まって今日が3泊目」というと「そんなペースじゃサンティアゴに着くまで3ヶ月かかる」と笑われました。

「3週間しか休暇がないから、サンティアゴまで21日間で行く」というブラッドリー。「ハイキングモンスター」というニックネームが付きました。

 

その後、プエンタレイナでスンニと再会し、ブラッドリーの話題が出ました。

「ハイキングモンスター、まだパンプローナにいるらしい」とスンニ。

パンプローナでフランス人の彼女ができて、毎日デートで忙しく21日間完歩計画は完全に吹っ飛び恋愛モンスターと化したのでしょう。

 

スペインの日の出は遅く午前7時でも外は真っ暗。8時を過ぎてようやく日が出て、巡礼路に長い影ができます。