翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

ゆっくり行く者は遠くまで行く

スペイン巡礼で異国の地を7週間も歩くというとびっくりされますが、「日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会」には、何度も行ったという人もたくさんいます。

昨年の秋には八王子の山を歩くイベントに参加しました。

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カミーノ友の会では相談会も実施しています。出発が来月に迫っているので、話を聞きに行くことに。

友の会のスタッフの方と、巡礼から帰ったばかりという方もいて、リアルで実践的な情報を教えてもらいました。

スペインの巡礼路はオーバーツーリズム状態だそうです。コロナで巡礼できなかった人々がどっと歩き始めているから。

そして、予約不可の公営アルベルゲは、先着順のため泊まれなくなる人も出ている。私営の宿を予約して歩いたほうが無難とのこと。

 

八王子のイベントでは、ヨーロッパの大学は9月始まりなので公営アルベルゲも空いていると聞きました。私が日本語学校で教えていた頃も、8月のお盆を過ぎると学生たちは一気に帰国していたものです。

しかし、今は時期に関係なく混んでいるのでしょう。体験型の旅は世界でブームになっているようで、3月の熊野古道も外国人旅行者で大盛況でした。

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中辺路には小規模な民宿しかなく、かなり早めに予約する必要があります。一緒に歩いたジェシーとケイトは一人旅でしたが、アメリカやヨーロッパからの団体客もよく目にしました。

 

歩き疲れて宿が満室だったら、次の村まで歩くしかありません。これはかなり苦しいし精神的にも負担だから避けるべきだと友の会の人にアドバイスされました。

数年前までは電話予約が一般的でスペイン語ができないとむずかしいと言われましたが、今はネット予約できる宿が多いので、翌日の宿を予約しながら歩く旅となるでしょう。

 

特に混むのがサンティアゴ・デ・コンポステーラまでのラスト100キロのサリアから。100キロ歩けばサンティアゴで巡礼証明書がもらえるからです。サリア以降は団体の巡礼者もどっと増えて、バルにも長蛇の列ができるほどだそうです。そういえば、熊野古道の民宿で一緒になったイギリス人女性たちは、完全にパッケージされた優雅な旅をしていましたが、来年はサリアから歩くと話していました。公営アルベルゲは先着順、私営の宿は旅行エージェントが押さえるとしたら宿探しに苦心しそう。かといって、あまり前から予約してもその日に着けるかどうかわかりません。

 

思わず「じゃあ、今回はサリアから先は歩かないことにします」と口走っていました。

「え、本当にいいんですか。サンティアゴが目的地なのに」とびっくりされました。

キリスト教徒ではないし、聖地に行くことより聖地に向かうプロセスを楽しみたい」と説明しました。四国のお遍路も「区切り打ち」として何回かに分けて歩く人もいますし。

 

サンティアゴまで行かなくていいとなったら、かなり気が楽になりました。なんならサリアではなくもっと手前の街でもかまいません。帰りの飛行機はマドリードからなので、もう十分歩いたというところでマドリードに向かえばいいのです。足の疲労やマメに悩まされて巡礼をあきらめる人も多いそうですが、そうなる前に短い距離でゆっくり歩いて行くことにします。公営のアルベルゲは一泊しかできませんが、私営の宿なら連泊も可能。気に入った街があったらしばらく滞在するのもおもしろそうです。

当初の計画とは異なり、軟弱な巡礼となりそうですが、一つだけ守るルールは交通機関を使わないこと。一日5キロでもいいから自分の足で歩いて先に進むことです。「5キロなんて1時間ちょっとの歩きじゃないですか」とあきれられましたが、「ゆっくり行く者は遠くまで行く」ということわざもあります。

 

もともとスペイン巡礼は「見果てぬ夢」だったのだから、永久に到達できない夢でもいいのかも。

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大聖堂まで行かなくても、どの街にも立派な教会があります。