翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

熊野古道で完全アウェイ状態

熊野古道を歩いています。

初日は羽田から南紀白浜に飛び、白浜駅に出てJRで紀伊田辺へ。バスに乗って熊野古道中辺路のスタート地点滝尻へ。これだけですでに午後3時を過ぎました。滝尻に一軒しかない宿にチェックイン。4室しかないこの宿を予約できたのは本当に幸運でした。 

アメリカ人女性が2人。そういえば紀伊田辺から乗ったバスも乗客のほとんどは外国人でした。

翌日は一人で歩くつもりだったのですが、方向音痴の私は最初のポイントで道がわからなくなり、後から来た彼女たちと合流して3人で歩くことに。3人とも、お一人様で来ている似たような性格。すぐに打ち解けました。ジェシーはロスで映画のコスチューム制作、ケイトはフロリダでテクニカルライターをしています。

 

おしゃべりしたり写真を撮ったりでどんどん追い越されていきます。あいさつはすべて英語か片言の日本語。

「どうして、日本人が歩いていないのかしら?」とジェシー

「ほとんどの日本人はテレビで野球の試合を観ている。今日はあなたたちの国とWBCの決勝戦だから」と答えました。

若い女性だし、野球に興味がないのでしょう。まったく知らなかったそうです。

 

ジェシーとケイトとは2日目の宿が別々だったので夕方に別れ、近露の民宿にチェックイン。

オーナー夫妻は日本人でリタイア後に熊野に移住して宿をオープンさせたそうです。

ここも全4室。

イギリスから来たご婦人2人。きっちり髪をセットして真珠のネックレスを付けた優雅な装い。トレッキングの格好のままで恥ずかしくなりましたが、荷物は最小限にしたのでしかたありません。彼女たちは荷物配送サービスを利用して3週間の日本旅行のすべてのホテルに荷物を運んでもらっているとのこと。スーツケースを自分で運ぶのは初日と最終日だけだそうです。

フィリピン人のITエンジニアと金融関係のパワーカップル。スペインの巡礼路を歩いたので、次は熊野古道。海外旅行が趣味のようで、F 1観戦などセレブな話題が続きます。

最後の一人はシンガポール女性お一人様。山のない国なのにトレッキングが趣味なので海外の山を歩くしかありません。早口の英語で足も速い。私たち3人がゆっくり10時間ほどかけた道のりを6時間で歩き切っています。仕事は都市計画で、典型的なシンガポールのキャリアウーマンです。

 

翌日は雨。フィリピン人のカップルは歩けるところまで歩くと早朝に出発。イギリス人のご婦人たちは迎えの車が来て、神官のガイドで熊野古道のハイライト部分だけを歩くそうです。根性のない私は歩くのをやめて本宮までバスで出て早めに川湯温泉へ。シンガポール人女性は新宮までバスで出て、雨でも歩きやすいルートに予定変更。

バス停にはニューヨークとサンフランシスコから来たというアメリカ人グループ5人。

「ずっと日本に来る機会を待っていたんだ。予定が決まってもまた日本政府が国境を閉じたらどうしようかと不安になりながら。今は桜の季節だし、どうしてもこの旅を実現したかったよ」

なるほど、こういう外国人旅行者で熊野古道の宿はみんな予約されているのでしょう。2日目の宿のオーナーは日本人客は1割程度だと言っていました。

アメリカ人男性ならWBCのことを知っているだろうと話題を振ってみました。

「おお、そうだね! 世界一おめでとう!」

やけに芝居っぽい口調。仲間のアメリカ人たちがパチパチと拍手してくれました。

そしてこっそりこの一言。

「私たちの本当の野球シーズンはまだ始まっていないんだけどね」

 

ジェシーはカリフォルニアでトレッキングに慣れてるので大きなバックパックのまま歩き、ケイトは配送サービスを利用しています。