翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで重版になりました。

八王子ワンデー・カミーノ

スペイン巡礼について調べていると、「日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会」という団体を知りました。カミーノとは、スペイン語で道。日本人向けに巡礼の情報を発信しているNPO法人です。

巡礼の説明会や報告会などに加え、ワンデー・カミーノとして東京近郊のハイキングコースを歩くイベントも開催しています。JR高尾駅に集合し八王子城跡、富士見台、駒木野・新井分岐を経て駅に戻るコースに先日、参加してきました。

 

友の会スタッフの方が5名、巡礼したことのある人と私のような初心者が適度に混ざり合って20人ほどのグループ。「巡礼経験によって上下関係を作りたくない」という会の方針で初めての参加者を積極的に受け入れる開かれた会でした。カップル参加は2組で残りは個人参加で、誰とでも打ち解けやすい雰囲気に。昼食や休息、きつくない歩きの時間を利用して、知りたいことも質問できました。

 

・寝袋は、アウトドアで寝るわけじゃないので高性能である必要はない。モンベルの一番安いので十分。

・学生の夏休み期間の7月と8月を外せばアルベルゲ(巡礼宿)はそう混んでいない。

・1週間に一度は、個室とバスタブのある民宿かホテルに泊まって骨休めを。二段ベッドがずらりと並んだアルベルゲでは荷物の整理もできない。

・次の宿までの荷物の運搬サービスは利用したほうがいい。巡礼だからといって、わざわざ苦しい目に遭う必要はない。

・イギリス人の道は、宿と宿の間が長いので初心者向けじゃない。一番歩きやすいのはやはりフランス人の道。

・試しに1週間ほど歩いてみたいのなら、フランス国境のサン・ジャン・ピエド・ポーから100キロがおすすめ。サリアからサンティアゴ・デ・コンポステーラの100キロは観光的な巡礼が多くて最初にここだけ歩くと雰囲気がつかみにくい。

 

「高齢者も歩いていますか」と聞くと、「わざわざ長期間の巡礼するのは、働き盛りよりシニアのほうが多いから。80代だって足腰がしっかりしていれば歩いている」とのこと。

この日の参加者も、平均年齢は高めで私がいてもまったく違和感がありませんでした。何度も巡礼を経験しているというきびきびして気さくな女性は、よくよく話してみると私より年上でした。

 

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予想外だったのは、コースのきつさ。

八王子城跡、八王子神社まではたいしたことはなかったのですが、その後は雑木林の中のアップダウンがあり、足を置く場所に困るほどの急な下りが数か所。登山靴着用でトレッキングポール持参とあったはこのためでした。

礼経験者から「ピレネー越えより大変!」と悲鳴が上がりました。

下山後はスペインの赤ワインで乾杯。撮影機材やワインを運んであの山道を歩き通したスタッフに感謝です。「今日の行程を歩けたのだから、スペイン巡礼は大丈夫」と励まされました。

 

快晴の休日だったので、高尾山は大混雑だったでしょうが、こちらのルートはすれ違う人もまばら。道が狭いので、譲り合って歩きます。「何の団体ですか?」「巡礼の会です」「まあ、四国にいらっしゃるんですね!」という会話が聞こえてきました。歩いている途中なので、あえて否定もせずそのまま。

四国八十八か所だろうが、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの道だろうが、根っこは同じ。八王子を歩いたこの一日も、巡礼です。「あなたは、バンコクにもいるし、東京にもいる。今この瞬間、世界中のどこにでもいる」というヴィッパサナー瞑想の師の言葉がよみがえりました。

無心に歩けるのは、バンコクの寺院で「lifting, moving,threding」という詠唱のような繰り返しで歩く瞑想の練習をしたからです。

 

bob0524.hatenablog.com

 

先月、高尾山に登ったときは下山後しばらく筋肉痛が続きましたが、八丈富士、そして今回と筋肉痛の症状は軽くなってきています。60代でも体は変わるんだ!

 

スペイン巡礼を意識し始めてから、歩くことが苦にならなくなりました。地下鉄2駅、30分ぐらいなら歩きます。平坦な道ならあまり疲れません。山への苦手意識も経験を重ねるうち(といってもたった3回ですが)、少しずつなくなっています。

たとえスペイン巡礼が夢で終わったとしても、これだけの変化がもたらされたのなら、それで十分です。