前回のスペイン巡礼はサリアまで歩いて帰国しました。
サリアから100キロ余り歩いてサンティアゴ・デ・コンポステーラまで行けば巡礼証明書がもらえるので、サリアから巡礼を始める人が多いのです。「観光客みたいな巡礼と一緒に歩くのはつまらない」「バルに入るのも行列ができている」などとさんざん悪評を聞いていたので、サリアまでとしました。
しかし、サンティアゴ・デ・コンポステーラまで行ってないのに「スペイン巡礼をした」というのは、小池百合子のカイロ大学卒業みたいなものではないか。夫もスペイン巡礼をしたいというし、二人でサリアから歩こうということになりました。
今回はJALで羽田からヒースローで乗り継ぎマドリード入り。前回、乗客が登場時にスマートフォンを落としたために24時間遅れになり、成田のホテルで不安で眠れない一夜を過ごしたのも、今となっては笑い話です。
マドリードからサリアへは鉄道で移動。ネット予約はスムーズですが、実際の乗車はあたふたします。プラットホーム番号が10分前にならないと表示されないので気が気ではありません。日本の新幹線の整然とした表示がなつかしい。
10時7分マドリード発予定でで表示が出たのは10時過ぎ。列車が動き出したのは10時15分でした。途中駅からの乗り換えはバス。プラットホームで係員が「サリアとルーゴに行く人!」と節をつけて乗客を集めます。バスに乗り込むのに改札はありません。全員が乗り込んだところで、係員がスペイン語で何かおかしなことを言ったのか、乗客から笑いが漏れます。不安になって隣の女性に「このバスはサリア行きですよね?」と確認すると、「彼は、サリア以外に行きたい人は問題が起こっても自分で解決してください」と付け加えたと解説してくれました。
二度目のサリア。巡礼宿は前回と同じところを予約しました。とても親切だったので。夫婦で泊まるので、大部屋ではなく今回はツインルームです。
前回の巡礼の終盤で仲良くなったジルはアメリカのオレゴン州出身。巡礼最後の夜が名残惜しくてサリアの街歩きを楽しんでいると、ばったり再会しました。
山歩きが趣味のジルは歩調が速いので一緒に歩くことはせず、バルや巡礼宿で顔を合わせていました。
ジルの夫はハワイ出身の日系アメリカ人。世界各地からやって来た移民が働くさとうきびのプランテーションでは、シンプルな英語が共通語だったという話を聞いたそうです。「カミーノも同じ。英語がネイティブじゃない巡礼が多いから」とジル。なるほどと思いました。
「また明日」というジルに「私の巡礼はここまで。日本に帰る」と告げると驚かれました。「もうあなたを探すことはなくなるのね」と名残りを惜しむジルととハグして別れました。
さて、今回もこんな出会いと別れを体験できるでしょうか。