翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

巡礼の受難現代版

「こんなに巡礼が大変だとは」と嘆くのは、歩き始めてからだと思っていました。

日本を出るだけでもとんでもないトラブル続き!

前回のJALラウンジをアップしたのち、搭乗口に向かうと、エコノミーが満席のため、プレミアムエコノミーへのアップグレードを告げられたのです。これは意外でした。JALのマイル修行をしてステータスを得て、たしかに今回のチケットもJALで購入していますが、フィンエアーの会員の方を優先するはずなのに。

しかし、目指すのは質素な巡礼の旅。コンパクトなエコノミー席こそふさわしいのに。隣も空席で広々としていて、食事も豪華になります。最安値で買ったというのに、なんという運の良さ。

 

しかし、幸運と不運は代わりばんこにやってきます。

機長のアナウンス。機材のトラブル、というか乗客の一人がドアの隙間に携帯電話を落したらしい。安全運行に関わる問題なので、ヘルシンキ本社のメカニカルと会議を開いて対策を協議しているとのころ。歩きスマホ機内モードにしていなかったのでしょうか。

10数分おきに進捗を知らせるアナウンスがあるのですが、なかなか進展しません。携帯は貨物室の中におちてしまっているらしい。遅延したらパリへの乗り継ぎ便はどうなるのだろうとぼんやり考えたところに再びアナウンス。

「携帯電話が見つかった! それはグッドニュースだけど、バッドニュースもある。空港のゲートが閉まってしまった。今夜は飛べない。成田は24時までしか飛べず、事情を説明したがルールを変えることはできなかった」

 

何という展開。お盆の台風による交通の大混乱をニュースで見て、時間通りに飛行機や列車、バスが運行するのは当たり前のことではないと思ったのですが、こんな形で我が身に降りかかってこようとは。

地上係員が乗客全員のホテルを確保しようとしているとアナウンス。プレミアムエコノミー席のわたしはこのまま機内で寝てもいいと思いましたが、ぎゅうぎゅうのエコノミー席の乗客には過酷でしょう。そもそも、いつ飛べるかわからないのですから。

ホテル手配に時間がかかるので、まず食事をということでフライト中に出てくるはずの温かい食事が出てきました。この時点で午前1時を回りました。

バスの定員が40人なので、40人ずつ降機。出入国ゲートと税関、地上職員は残業で対応したのでしょうか。宿泊先は日航成田ホテル。今回の損害はどうやって処理するのか気になります。

すばらしかったのは、乗客の民度がけっこう高かったこと。今日は飛ばないと聞いて失望のため息はありましたが、乗務員にクレームをぶつける人は1人もいませんでした。原因が原因だけにフィンエアーも被害者ですから。そして、もしこれがJALだったらCAさんたちは渾身でお詫びをするでしょうが、フィンエアーはいたって自然体。起きてしまったことはしかたがないのだから文句をいっても意味がないでしょう、という淡々としてフレンドリーな接客。

 

乗客の連携もすばらしく、地上職員が「ホテルで朝食はご用意できませんが、空港レストランで使えるバウチャーをお渡しします」と伝えると「ホテルで飢えても、空港なら食事にありつけるぞ!」と、列の前方の人が大声で後ろに伝えて笑い声が起きました。運んでいる巨大な荷物はトライアスロンの自転車だとか。ハードな競技に比べればこんなトラブルはなんでもないといったところでしょうか。

 

成田を飛び立ったのは翌日の夕方。ヘルシンキからの乗り継ぎ便はもう出ていて、ホリデイイン空港ホテルに泊まることに。これもフィンエアーの手配です。

 

1日遅れでパリに飛ぶ便は再びまさかのアップグレードでビジネスクラス。一体どうなっているのでしょう。広すぎるスペースにリアル借りてきた猫状態。

 

パリでの一泊をスキップし、フランス鉄道の予約を変更しその日のうちにサンジャンピエドポー到着。歩き始める前に半分以上のエネルギーを使ったような気分です。

 

巡礼RPGのスタートの村。教会で巡礼証明書を発行してもらい、道具屋でトレッキングポールを手に入れます。