翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)、ビジネス記事翻訳ですが、そろそろリタイア状態へ移行中。JALの「どこかにマイル」で日本各地に出没。ウラナイ8で活動しています。

捨てるための旅

旅の計画を立てていると、あっという間に時間が過ぎます。それだけ楽しいからでしょう。

 

前回のスペインの旅で、風車の街カンポ・デ・クリプターナ駅で出会った日本人のご夫妻は、ホテルや列車の予約はすべて旅行会社にお任せしたそうです。次のマドリッド行きの列車まで4時間もあるとおっしゃるのですが、私が乗る列車は1時間後です。プリントアウトされた予約の控えを見せてもらうと、変更可能なチケットです。窓口で早い列車に変えられると伝えると、たいそう感謝されました。私はスペイン鉄道のサイトから最も安い変更不可能なチケットを買い、PDFファイルをコンビニでプリントアウトして持参していました。たしかに時間も手間もかかって面倒だったので、誰かに任せたいという気持ちもわかりますが、自分で旅を組み立てていく楽しさがあります。

 

この3年間は海外に出ていないので、もっぱらJALの「どこかにマイル」で交通費を節約して動いています。

コロナが落ち着いてきたら、いよいスペイン巡礼の旅に。しかし、気楽な国内旅行と違って情報収集と準備にかなりの時間がかかります。荷物を背負って長時間歩く力もつけなくてはならないので、来年の秋はちょっとむずかしいかも。いきなり800キロのフランス人の道を歩くのは無謀だから、四国お遍路の「区切り打ち」のように何回か分けて歩くか、サンティアゴ・デ・コンポステーラ手前の100キロを試しに歩いてみるか、あるいは北の海岸から歩き始めるイギリス人の道も検討しています。

 

スペイン巡礼関係の書籍やネット、映画に当たっている中で巡り合った小野美由紀『人生に疲れたらスペイン巡礼』。

宗教学者、金良枝さんがサンティアゴ・コンポステーラへの巡礼について語った言葉が紹介されています。

 人生と旅の荷造りは同じ。いらない荷物をどんどん捨てて、最後の最後に残ったものだけが、その人自身なんです。この道を歩くことは「どうしても捨てられないもの」を知るための作業なんですよ。

巡礼の道を歩くために荷物をリストアップし、現地の情報を詰め込んでいる私は、「捨てるための旅」からほど遠い状態。所持品はなければないで済まして、どうしても必要なら現地調達。観光名所を見物して名物アルベルゲ(巡礼宿)にも立ち寄りたいなんて欲も捨てたほうがいいでしょう。出かける前に計画をきっちり立ててしまうと。答え合わせの旅になってしまいます。

 

そして、小野美由紀さんが巡礼の道を歩いた感想。

日常生活で詰め込み過ぎた固定観念、忘れたくても忘れられない思い出、思い込み。それらがスペインの田舎という、祖国の常識の通用しない異国の地で、どんどんひっくり帰る。未知の出会いに飲み込まれてあっぷあっぷともがいているうち。どんどんいらないものが消え、洗い流されて、からっぽの自分の中に新しいものが芽生える。

 

はたしてこの境地に達することがことやら。

 

3年前のスペインは物見遊山の気楽な旅でしたが、サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指したいという野望の種を得ました。