NHKのクローズアップ現代。女性たちが地方を出て、消滅の危機に瀕している自治体が全国744もあると報じられています。
ブログ仲間の貯め代さんによると、地元の町内会では時代錯誤のおじいさんたちが牛耳っていて、地方在住の本音として「もう手遅れ」と感じているそうです。
地区の行事では女性陣が絶対台所に近い席に座っているんですよね。男の人たちは絶対動かなくていい席に座りっぱなしで。お母さんからずっと『女性は気が利く人間にならないとダメだよ』と言われて育ってきたので、将来生きづらいなって。
こういうのが得意な女性もいますが、私は昔から苦手でした。そうした能力はサービス業や水商売などのビジネスとして発揮して正当な収入を得てほしい。無償で「気の利く人間」を求められるなんてぞっとします。
スペイン巡礼と四国遍路を歩いた森知子さんの本を愛読しているのですが、四国にはあまり行きたくないと感じた一節があります。
善根宿というお遍路さんを無料や格安で泊めてくれる民宿。そうした宿で我が物顔にふるまうベテラン遍路のおじいさんから、ご高説を聞かされる。男性客が「お茶をください」と言うので森さんも「私も」とお願いすると宿の女将さんは途端に不機嫌に。女のお遍路は座ったままではだめで、暗に手伝いを要求されるのです。歩き疲れてそんな目に遭うなんて勘弁してほしい。
それに比べてスペイン巡礼のなんと歩きやすかったことか。アルベルゲ(巡礼宿)の共同部屋は男女関係なく先着順にベッドが割り当てられ、シャワーこそ男女別ですが、女だから何かをしなくてはならないという縛りはまったくありませんでした。
クローズアップ現代では、地元の祭りで男性は神輿を担いで盛り上がっているけれど、料理と酒を出すのに追われ、負担に感じている女性のエピソードも紹介されていました。そんな女の本音を知って驚く男性。言われないとわからないのかとあきれますが、反省できるだけ偉いと思いました。昔の常識のままアップデートされていない高齢男性のほうが多数派ではないのでしょうか。
私の人生における最高の選択は、田舎を出たことです。育ったままの田舎で、どれほど不自由で不完全燃焼の人生を送っていたかを想像するとぞっとします。大学進学で関西に出ましたが、40年以上前ですから、ゼミ合宿の食事当番は女子という時代でした。東京に出て、女性誌の編集部という女性が圧倒的に権力を握っている場所で仕事ができたことは本当に幸運でした。幸いにして夫は私が仕事の幅をどんどん広げていくのをおもしろがるタイプで、年収が逆転してもまったく問題が起きませんでした。
しかし、胸に手を当てて考えると、アップデートできないおじいさんと同様、私にも古い価値観が残っています。若者が自由奔放にふるまうのを「ちょっとは遠慮しろ」と内心で非難するおばあさんになっているのではないか。おじいさんたちを糾弾する前に、自分がアップデートできているかどうかを検証しなくてはなりません。善根宿の女将さんのように、女の敵は女という場合もあるのです。

スペインのバルでくつろぐ高齢男性。店の若者やふらりと立ち寄った巡礼者と会話を交わし、適当なところで席を立ちます。こんなスマートな老後を送りたいものです。