那須湯元の湯治は楽しかったけれど、日本が本当に沈みつつあると実感した旅でした。
東京で暮らしていると、ちょっとしたイベントで大混雑となり、いたるところに若者の姿。外国人観光客も押し寄せ、いつもお祭り騒ぎのようです。日本が衰退するなんて想像できませんが、那須湯元で日本の地方の現状が実感できました。湯治場のある通りは、民宿の掲げていても休業中の民宿がちらほら。後継者が見つからなかったのかもしれません。
かく言う私も昨年のスペイン巡礼を契機に連載の打ち切りをお願いしたのに、「次のライターが見つからない」という理由で戻ってきた仕事があります。縮小していく市場には志望者が集まらないのでしょう。
那須湯本でお世話になった民宿松葉は、昭和の香り漂う古民家。スペイン巡礼宿の大部屋で熟睡できる私には向いていますが、宿にこだわりのある人にはお勧めできません。
若旦那の手料理が名物ですが、チェックインで迎えてくれたのは私と同世代。「この人が若旦那?」という疑問を抱きつつ、夕食の席に。BGMは80年代の松田聖子やテレサ・テン。料理を作って運んでくれるのも一人でこなしているのですから、若旦那にまちがいないでしょう。お嬢さんとお孫さんが挨拶に来てくれました。小さな男の子が「ようこそ、いらっしゃいませ」と可愛く挨拶。この子が民宿を継いでくれたら理想的ですが、本人の希望がそうなるかどうか。
那須の空は快晴。東京とは空の透明度が違います。鹿の湯にも行ってみました。
那須元湯はすばらしい湯治場でしたが、日本の衰退をリアルに感じました。老人ばかりの国はこれからどうなっていくのでしょう。
ボブ・ディランが息子に贈った曲「いつまでも若く」。
May your heart always be joyful
May your song always be sung
May you stay forever young
君の心がいつも喜びにあふれ
君の歌がいつも歌われ
君がいつまでも若くいられますように
老いても若旦那、若女将の気概を持ち続けよう。沈みつつある国でも、いつまでも若くありたいものです。
そんな無鉄砲な勢いで明日からスペインに旅立ち、巡礼の仕上げをする予定。時間と気持ちのゆとりがあればブログを更新したいのですが、十日ほどの短い旅程なので歩くだけで精一杯かもしれません。