翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

パウロ・コエーリョゆかりのアルベルゲ

巡礼だというのに、教会より個性的なアルベルゲ巡りに精を出しています。

検索の甲斐あってたどり着けたのが、『星の巡礼』著者のパウロ・コエーリョゆかりのアルベルゲ。ビロリア・デ・リオハという小さな村にあります。

 

 

アカシオとオリエッタのカップルが二人で切り盛りしています。

パウロ・コエーリョがアカシオと同じブラジル出身ということもあり、このアルベルゲのスポンサーとなったようです。もちろん、パウロはこの宿に泊まったことがあります。

定員が8名なので極めて家庭的なおもてなし。この日はオランダとスペイン、フランスが各2名、アメリカ、日本という構成でした。

「ただ食事を楽しむだけでなく、ともに過ごす時間すべてを慈しんで味わってほしい」というアカシオの言葉でディナーが始まりました。アカシオとオリエッタも一緒に10人でテーブルを囲みます。メニューは、野菜のスープとサラダ、ブラジル料理のフェジョアーダ(豆の煮込み)とご飯。デザートはリンゴのコンポート。すべてオリエッタの手料理です。

 

パウロ・コエーリョのライブラリーもありました。

 

アカシオもオリエッタも元巡礼者。ブラジル人とイタリア人がカミーノで知り合って関係を深め、どのような経緯でアルベルゲを開くに至ったのか。二人はアルベルゲのすべてを愛し、巡礼者への深い思いやりをもって接しています。

 

こういう体験ができるのが、カミーノの大きな魅力です。そして、愛に満ちたアルベルゲということでもう一軒、思い出しました。

何の変哲もない、というか設備は古くネットの評価は低めだったのですが、旅程にちょうどよかったので泊まりました。チェックイン時にはオーナーらしき男性がいましたが、実際に切り盛りしているのは若いカップルです。英語を話さないので、スマホの通訳機能を使ってやりとり。「カミーノに恩返しをしたい」という意識高い系のボランティアではなさそう。生活のために住み込みで働いているといるのかもしれませんが、二人はとても仲がよくて一緒に働くことを楽しんでいるほほえましいカップルです。

 

キッチン横のテーブルでiPadを開いていると、目の前にお皿がおかれました。

見た目にも鮮やかなスイカ! 他の宿泊客は出払っており、私だけへの特別な差し入れです。スペインの強烈な日差しによって甘く熟し、あまりのおいしさに涙が出そうでした。「おいしいスイカをありがとう」とスマホの通訳機能に入力。間違って日本語再生ボタンを押したのですが「ありがとう」という日本語は知っているらしく、十分通じました。

夕食を申し込んだら、メインはチャーハンでした。スペイン料理にはパエリアもあり、けっこうお米を食べるのでしょう。パンも回ってきたので「日本人はご飯とパンを一緒に食べない」と説明しました。「日本で毎日食べていたお米が出てうれしい」はスマホの通訳を使わなくても同席した客がスペイン語にして伝えてくれました。

 

スペインにとってカミーノは最大の観光資源ですが、単なるツーリズムではなく現場で働く人々の巡礼者への思いやりがここまでの人気につながっているのでしょう。