翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

ドネーション(寄付)の達人を目指したい

巡礼宿には公営と私営、そしてドネーション(寄付)があります。

もっぱら私営の宿に泊まっているのですが、予約がうまくいかないことがあって一度だけ公営に泊まって見ました。公営の宿は格安ですが予約ができず先着順。早めに並んだから泊まれたものの、疲れてたどり着いて満室だったら大変です。そのためか、公営の宿は朝が異様に早くて、4時頃から起き出して出発準備をする人もいました。

一方、ドネーションの宿は教会や修道院が運営しているので、キリスト教徒ではない泊まるのはためらいがありますし、いくら払っていいのかわかりません。提示された価格を払うのに慣れすぎていて、自分で決めろと言われても悩んでしまいます。日本ではより安い価格でより良く、より多く買うのが賢い消費者だと刷り込みを受けて来たのですが、ここはカミーノ。ドネーションをケチると「金持ちが天国に行くのはラクダが針の穴を通るよりむずかしい」と説教されそうな気がしてドネーションを避けるようにしています。

 

しかし、パウロ・コエーリョゆかりの宿がある村、ビロリア・デ・リオハではそういうわけにはいきませんでした。


村にはお昼に着きました。最初に目に入ったあるべるがカフェも併設しているので軽くランチを食べることに。

 

チーズのボカディージョ(サンドイッチ)とカフェコンレチェ。5ユーロでお釣りが来るだろうと差し出すと「うちはドネーションです」。お札を引っ込めるわけにいかず、そのまま払いました。こんなことなら、野菜も入れてもらえばよかったと考えてしまう貧乏性。

 

カフェから少し歩けばパウロ・コエーリョの宿。

なんと、ここでも「宿代は決まっているけれど、夕食はドネーション。あなたが感じた価値の分だけ払ってほしい」と言われます。ここはドネーションの村?

オリエッタの料理はおいしいし、アカシオがどんどん赤ワインを勧めてくれます。すっかりいい気分でベッドに行き、熟睡しました。

 

翌朝、別れを惜しみながらバックパックを背負って出発。早朝の気持ちいい空気の中、ずんずん足が進みますが、ふと何かを忘れているような気が。

なんと、夕食のドネーションを入れ忘れていました! 必死の形相で巡礼路を逆走。顔見知りの巡礼者とすれ違って「逆に進んでいるよ」と声をかけられます。そして、ついさっき「もう二度と会えないかもしれないけれどあなたのことは忘れない」と感動的な別れをしたオリエッタと再会しました。

 

財は増やして貯め込むのではなく、世の中に回してこそ生きるもの。ドネーションの達人になるまで、まだまだ修行が足りません。