久しぶりに地方に暮らす友人と電話で長話。
話題に出たのが投資詐欺。のどかで平和そのものに見える地域でも「絶対に儲かる」という甘言に惑わされて多額の資金を預けてしまう人が続出しているそうです。
そういうのにだまされるのはよほどの世間知らずなのかと思ったら、公務員や教員としてまじめに働き、まとまった退職金をもらっている人だというのです。
おそらくそういうタイプの人は、政府の掛け声で「これからは貯蓄だけではだめだ、投資しなくては」と考えるようになり、だからといって自分でやるのは怖くて「正しいやり方を知っているらしい人」に任せてしまったのではないのでしょうか。
絶対に儲かる投資があるのなら、私だって託してみたいものですが、相場と関わっていればそんなのはあるはずがないと実感できます。
平均株価や為替の動向の予測は山のように出ています。詐欺師ではなく、立派な経歴と肩書のある経済アナリストによるものですが、連続してぴたりと当てる人は皆無です。相場の成り行きは誰も正解が出せないのだから、自分で判断して勝負にでるしかないのです。
ただし、勘だけに頼っていては危なっかしいので、さまざまな予測に目を通した上で自分なりの方針を立てるのが相場師の醍醐味だと思っています。
来年から始まる新NISA制度。政府の後押しで新たに投資を始める人が増えそうですが、そんな人がどんな株を買うかを予測して仕込んでおきました。だからといって「どの銘柄を買ったか教えてほしい」と頼まれても困ります。私が教えたとおりにやって損をした場合、恨まれるからです。
2年半ほど続けた献血ボランティアの占いをやめたのは、投資詐欺のような話をちらほら耳にするようになったからです。無償で献血をする人たち相手なら、無料で占いをしてもいいと思っていたのですが、あやしげな投資関係の相談をする人がちらほら来るようになってやめました。
絶対に儲かる方法を知っているのなら、わざわざ人に教えることはありません。こっそり自分だけでやってお金を増やせばいいのです。
経済アナリストと占い師は似たようなもの。絶対的な正解を教えてくれる人はいませんが、参考になります。試行錯誤を重ねつつ、自分の道を探っていくのが人生のおもしろさです。「この人の言うことさえ聞いていれば大丈夫」と思い込んではいけません。
正解のない人生に比べて、スペイン巡礼のなんと楽だったことか。至るところに黄色い矢印で道筋が示され、迷うことはありませんでした。