翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)、ビジネス記事翻訳ですが、そろそろリタイア状態へ移行中。JALの「どこかにマイル」で日本各地に出没。ウラナイ8で活動しています。

お金で買えるもの、買えないもの(交換価値と経験価値)

先日、原稿執筆カフェでネットテレビの取材を受けたら、地上波のニュースでも流されました。

「あなたによく似た人がテレビに出ていたけど、もしかして?」というメールが来たり、スポーツクラブで「見たわよ」と声をかけられました。

取材を断らなかったのは、今までさんざん人を取材してきたし、私以外に取材可のお客さんがいなかったようだから。そして、原稿執筆カフェは1時間300円という利益を度外視した価格設定なので、取材を受けることでささやかに貢献したかったからです。

店長の川井さんは、利益を出すためではなく、締め切りを抱えたクリエーターたちに場所を提供することに意義を見出しているようです。

 

世の中にはお金のことばかり考えている人がいますが、いくらお金を出しても手に入らないものがたくさんあります。

 

お金は「交換価値」がありますが「経験価値」は保証してくれません。そんなことを学んだのが「美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい」と形容を重ねた『父が娘に語る経済の話』。著者は、2015年のギリシャの経済危機時に財務大臣を務めたヤニス・バルファキス

 

お金に換算できない「経験価値」はこんなエピソードで説明されます。

ギリシャの美しいリゾート地で、親密な友人家族と過ごす一夜。

友人の息子のパリスは上機嫌ではしゃぎ、おもしろいことを言って大いに笑わせてくれます。そこへ漁船のコスタス船長がやって来ます。

「船の錨が海底の岩に挟まってしまったので、お願いできませんか。ダイビングがお好きでしょう?潜って、縄の端を錨の鎖に結んでもらえませんか?」

本来なら船長がやるべきことですが、リューマチが傷んで海に潜れないそうです。

人助けのチャンスだと思い、喜んで海に飛び込み、船長から大いに感謝され、楽しい夜がますます楽しくなります。

もし、この「経験価値」が金銭を介在する「交換価値」に置き換えられたらどうなるでしょう。

お金を払うからもっとおもしろいことを言ってくれと、パリスに頼んだら、緊張しておもしろいことが言えなくなってしまう。

コスタス船長が、もしお金を払うから海に潜ってくれと頼まれたら、海に飛び込むことを楽しめただろうか?

 

一昨年から献血会場で占い師のボランティアをしています。

占いは天の秘密を漏らす一種のチート行為なので、鑑定客からは必ず対価をもらうべきで、無料で占っては占い師とお客の双方に災いがあると習いました。

かといって、占いの館に座ると運の悪い人の凶をかぶるリスクがあるので、献血した人を対象とするのなら例外として許されると考えて始めました。月1回、午後1時から5時までの4時間で十数人を占っています。

 

献血についても、「経験価値」と「交換価値」で説明されています。

多くの国では人々は無償で献血している。誰かの命を救いたいという善意から献血する。

献血が有償の国では、無償の国よりもはるかに血液が集まりにくい。お金につられる献血者は少なく、お金を支払うと善意の献血者はあまり来なくなる。

交換価値と経験価値の違いがわからなければ、どうしてお金を支払うと献血者が減るのかを理解できない。

 

時々自分のことを金の亡者じゃないかと思うのですが、経験価値もわかっているつもりです。そして、心の満足が得られるのは経験価値だからといって、そればかりに傾くのも危険です。女性が家事や育児、介護を全面的に押し付けられる時代には戻りたくありません。

 

昨年春に出かけた甲府。緊急事態宣言が出ている都道府県からの訪問者はお断りということで、山梨中央銀行の金融資料館に入れませんでした。日本の貨幣の歴史や甲州財閥について見学したかったのに。次回に期待します。