ガルシア=マルケスが生まれたアラカタカ、学生や記者として過ごしたバランキージャ、カルタヘナ、シパキラも訪れた夢のようなコロンビア旅行。
首都ボゴタの国立図書館のガルシア=マルケス展が旅の締めくくりとなりました。
日本関連では『わが悲しき娼婦たちの思い出』に影響を与えた川端康成の紹介もあり、大江健三郎からの英文の手紙も展示されていました。
学芸員のホアン・ニコラスのガイドで見て回っている間にも、来場者から声がかかります。日本人がめずらしいからか、一緒に写真を撮ってほしいという人。そして、とあるご婦人から日本人かと聞かれました。
「ぜひ言っておきたいのだけど、ハルキ・ムラカミは日本のガルシア=マルケス!」
ガルシア・マルケスと違ってノーベル文学賞受賞の確率はあまりなさそうだけど。
ホアン・ニコラスが一言。
「うーん、僕も『1Q84 』を読んだけど、なんだかピンと来なくてね。おすすめの日本作家を教えてほしい」
村上春樹の愛読者ですが、たしかに若い世代からしたら気持ち悪い展開が多いかもしれません。だったら誰? 海外かぶれなので、とっさに思いつきません。「よく考えてみたいから、後で連絡する」と彼のメールアドレスをもらいました。こうした形で交流が続くなんて最高です。
さて、ホアン・ニコラスに誰を推すべきか。
原文が英語で純粋な日本人作家ではありませんが、カズオ・イシグロにしました。ガルシア=マルケスと同じノーベル文学賞受賞者で、生誕地も訪れています。
『遠い山なみの光』は映画化もされて海外でも評価されているようです。
そして、もう一人。大っぴらに言うのもはばかれる太宰治。ホアン・ニコラスには"He is the worst person but the best writer"と説明しました。
『駆け込み訴え』"A Hurried Appeal"を紹介しましたが、敬虔なカトリック教徒が多いコロンビア人はどんな感想を抱くでしょうか。早速、読書リストに載せたというホアン・ニコラスからの返事を待つのが楽しみです。
こんなすばらしい縁をもたしてくれたガルシア=マルケス。生誕地のアラカタカに行って「ここは世界の金木町だ」と感じました。
コロンビアと日本。地球の対極にあっても、人間が考えることは似ています。
ガルシア=マルケス愛読者のオランダ人が作った宿、Casa Turistica Realismo Magic。


そして、いたるところにガボ(ファーストネームのガブリエルの愛称)と黄色い蝶。
ガルシア=マルケスという両親の名字を併記するペンネームを選んだ経緯はこちらです。