先週の金曜と土曜は、年筮イベントでした。
天海玉紀さんの発案で始まり、夏瀬杏子さんが引き継ぎ、今は湊ゆきのさんが取り仕切ってくださっています。会場予約、告知、受付まで万全に設定してくださり、私は顔を出すだけ。ありがたいことです。
卦の象意やその意味するところの大筋は、インターネットや書籍にたくさん記されていますが「わたしにとっての、この卦」という実感は、その当人であればこそ語ることのできる筋書きのないドラマ。
吉凶だけでは判断しえない思いを話し、また他の人のそれを聞くことのできる場、というのはまたとない機会です。64卦・384爻あっても、その意味するところは立筮した人のぶんだけ分岐しているとも言えるでしょう。
そして土曜の夜はウラナイ8のメンバーで年筮を立てます。
順番決めの漢字タロットは20番の審判で、得た卦は兌為沢(だいたく)の二爻でした。

この2年はスペイン巡礼がらみの卦だったのが、来年は喜びや楽しみを象徴する沢が二つ重なった浮き立つような卦。沢は人物にたとえると少女であり、季節は秋。収穫の季節のお祭りで浮かれ騒ぐような軽薄さもあります。
60代も半ばとなり少女でもないのですが、老いた少女だからこそできることもあるのです。少女の頃の私は外国の本が好きで、舞台となった地に行きたくて、日本に縛られているのが窮屈でたまりませんでした。老少女となった今なら、どこでも行ける!
来年の7月はコロンビアに飛び、ガルシア=マルケスの物語の舞台を訪れます。兌為沢の二爻を転じると沢雷随(たくらいずい)になり、楽しさ(沢)に向かって動く(雷)という追っかけ。今年はBTSなら、来年はガルシア=マルケス。あこがれの人の聖地巡りといういかにも少女っぽい趣味を極めます。
順番決めのために引いたカードも「最後の審判」の復活を意味しますから、少女時代に夢中になった本をまた読むのもいいでしょう。
玉紀さんが今年の漢字シリーズを展開しており、私の漢字は昨年が「巡」で、今年は「湯」としました。
ガルシア=マルケスは『百年の孤独』の構想はできたものの、どう書けばいいのか迷っていました。思い付いたのが祖母の語り口。現実と幻想が入り混じった物語が語り継がれてきたスペインのガリシア地方出身の祖母を真似て『百年の孤独』を書き始めたのです。
彼の自伝のタイトルは『生きて、語り続ける』。「何を記憶し、どのように語るか。それこそが人生だ」というガルシア=マルケスに魅せられてはるばるスペインに出向くのですから、来年の漢字は「語」になるでしょう。八卦の兌(沢)はグルメやおしゃべりなど口に関連する喜びすべてを表しますし。

ウラナイ8のメンバーの年筮。奇しくも、杏子さんと私は卦も爻もぴったり同じになりました。だからといって二人が同じような一年を過ごすわけではなく、それぞれの個性に合わせた兌為沢となることでしょう。