今回の島根への旅は往路だけサンライズ出雲を利用しました。
JR西日本のサイトに登録し、発売日の午前10時きっかりに予約を取りました。復路はいつものようにJAL。飛行機はバーゲンに合わせて早めに格安で予約できるのに、JRは1か月前しか予約できないのが不便です。

個室は寝心地のいい布団に寝間着まで用意されています。

窓が大きいので、夜が明けてからは車窓の景色を観ているだけで飽きませんでした。
東京から出雲まで781キロ。飛行機だったら1時間20分の距離を約12時間かけて移動したわけです。そして、私がスペイン巡礼で7週間かけて歩いたフランス人の道とほぼ同じ長さ。列車も飛行機もある時代に、徒歩で聖地を目指すという酔狂な旅でした。
強烈な体験だったはずのスペイン巡礼も2年が過ぎ、思い出もかなり色あせてきました。かけた時間や労力は桁違いだけれど、今回の島根の旅もスペイン巡礼と同じぐらい濃い体験でした。
スペイン巡礼、7週間歩いたつもりだけど、実は一晩の夢だったのかも。
仁田丸久の『周易裏街道』に「邯鄲の夢」のような話が紹介されています。
ある男が庭の木の下にいると、国王の使者が現れ城に招待された。王に気に入られ王女と結婚、子供も生まれ何不自由なく隣国とも戦った。民衆から人気がありすぎて、王に嫉妬され「もう帰ってくれ」と引導を渡されたところで、目が覚めると20年たったはずがほんのひと眠りだった。木の下には蟻の巣があり、王みたいな蟻がいて自分が暮らしていた住居跡もあった。
仁田丸久の解説。
この話はうそであるが、うその中にまことがある。まことの中にうそがある。こんな奇妙な話の中に、なにかいい知れぬものがあるのを感じなくてはならぬ。名人上手の試合には虚々実々の争いという形容が使われる。虚実がないとほんものではない。
占いなんてあやしいものに関わっている人間は、こういう感覚が必要なのでしょう。
仕事を引退したのをいいことに、気の赴くままあちこちに旅を続けていて、目が覚めてると自分がどこにいるのか一瞬わからなくなることがあります。
そのうち寿命が尽きてもっと遠い世界に旅立つのでしょうが、そこはまったくの無なのかもしれないし、時間の観念がないのかもしれません。ふらふら動き回っているのは、やがて迎えるこの世の別れの予行演習なんでしょう。