翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで四刷になりました。

問いがなければ答えはない

先週の占いイベント、阿佐ヶ谷占いJAZZストリート。お客様の案内の合間を縫って、あれこれ占ってもらいました。

占い学校に何年も通って、女性誌の占い記事も散々書いてきたのに、今さら人に占ってもらうのを不思議がられることもありますが、占い師は自分のことを占えないという説があります。バイアスがかかって自分を客観視できないから。あるいは自分の運気の流れがわかれば占い師ばかり開運して世の中が不公平になるから、外れるようになっているという説もあります。

当たった外れただけでなく、占いには今の状態を客観的に把握し言語化するという効用があります。だまって座ればぴたりと当たるという占い師もいるでしょうが、一般的には恋愛や仕事、人間関係、あるいは今後3ヶ月とか1年の運気の流れなど何を占いたいかを告げてから鑑定が始まります。

何を占いたいかを告げるのは、問いを発信するようなもの。問わないことには、答えは得られません。

友達との会話や飲み会の席でも答えは得られるかもしれませんが、過度な自分語りは嫌われます。占い師と客という絶妙な距離感のほうが話しやすいし、鑑定内容を客の許可を得ずに公言することは占い業界ではタブーとされています。アメリカで定着した精神科のカウンセリングが日本でそれほど定着していないのは占い師がその役目を担っているからかもしれません。

 

今回のイベントでは10分1000円という設定で複数の占い師さんに自分語りをして、宙ぶらりんな状態を強く意識しました。スポーツクラブのダンスレッスンに週5日通い、しょっちゅう旅に出ているので充実しているようですが、実態は極めて流動的。忍び寄る老化により、今の生活があとどのくらい続けられることやら。次の段階の拠り所となるものは何なのか、占い師さんたちが繰り出すカードやシンボルからさまざまなキーワードが出てきました。

 

2023年に歩いたスペイン巡礼フランス人の道。全長800Kmを歩き通すというと過酷なイメージがあるのですが、精神的には極めて楽でした。自分の歩く道筋がはっきり決まっていて、歩いた距離が正確にカウントされるのですから。余計なことは一切考えず歩くだけで、午後からは世界中からやってきた巡礼者たちとの駆け引きも損得もない交流を楽しみました。

リアルな人生はとてもこういうわけにはいかないから、たまには占いに頼りたくなるのです。