『百年の孤独』の舞台であるアラカタカからバランキージャに戻り、カルタヘナへ。
大航海時代、スペインの船団にとって初めてのアメリカ大陸寄港地で「ラテンアメリカの黄金の扉」と呼ばれた都市です。今は多くの大型クルーズ船が寄港します。
コロナ前の2019年秋にカディスを訪れました。多くのスペイン船がカディスとカルタヘナを航行していたと思うと感慨深いものがあります。
アラカタカで生まれ、バランキージャやシエナガ、ボゴタで暮らしたガルシア・マルケスですが「カルタヘナこそ自分の生きる場所だ」と語っています。カリブ海の明るい陽光と世界中から船舶が寄港する自由な雰囲気が気に入ったのでしょう。
ガルシア=マルケスゆかりの地を巡る現地ツアーに申し込みました。カルタヘナは『コロナの時代の愛』『愛その他の悪霊』の舞台ですが、小説ゆかりの場所を独力で探すのはむずかしそうだったで。質問もたくさんしたいのでホテルまで送迎してくれるプライベートツアーを選びました。
時間通りに現れたガイドのデュランさんは何冊もの本を持参していました。まずはガルシア・マルケスについてのレクチャーです。彼の著作はほぼ読んでいるので復習のような感じ。
「アラカタカに2泊してきた」というとたいそう驚かれました。かなりのファンだと思われたのでしょう。作家としての紹介は省略されガルシア=マルケスとキューバの関係や彼の政治思想などが話題となりました。大国アメリカとの関係に翻弄されているコロンビア人としては、純粋な文学作品としてだけ読めないのは当然です。

デュランさん。ガルシア=マルケスが働いていた新聞社があった建物の前で。彼に敬意を示してシンボルカラーの黄色いシャツを着ているのかも。

1948年、大統領候補の暗殺をきっかけにボゴタで大暴動が勃発。ボゴタ大学法学部の学生だったガルシア=マルケスはカルタヘナに逃れ、友人が予約してくれた宿に泊まろうとしますが無一文だったので部屋に入れませんでした。しかたなく街をふらふらしていると夜間外出禁止令にひっかかり拘置される羽目に。彼が一晩を過ごした警察署は改装されて高級ホテルに生まれ変わっています。

『コレラの時代の愛』のフェルミーノ・ダーサの家の前の公園。フロレンティーノ・アリーサは彼女の姿を一目見ようとこの公園に座り続けました。

お菓子の屋台が並ぶ甘味廻廊(ポルタル・デ・ロス・ドウルセス)。小説ではフロレンティーノ・アリーサがこの奥でラブレターの代書を引き受けていました。
カルタヘナを舞台にしたもう一つの小説『愛その他の悪霊について』ゆかりのの地も訪れ、カルタヘナ大学の記念館へ。妻と共に彼の遺骨もここに葬られています。

アラカタカとカルタヘナ。とうとう実現したガルシア=マルケスの聖地巡礼。「好き」の一念だけではるばる日本から飛んできたのです。
ウラナイ8のサイトに「好きと愚かは仲良し」と書きましたが、「好き」というエネルギーさえあれば、いくつになってもおもしろおかしく暮らせるような気がします。