翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

海外で「日本人でよかった」と思えるありがたさ

ずっと英語の勉強を続けているつもりなのですが、海外で英語での会話となると、頭の中の考えをすべて口にすることができず、くやしい思いをすることがあります。

「どうして英語がネイティブの国に生まれなかったのだろう」に始まり、「読み書きではなく、会話に重点をおいた英語教育をする国ならよかったのに」など、日本人であることのハンデを感じるわけですが、今回のフィンランドの旅では「日本人でよかった」と思うことがたびたびありました。

日本好きのフィンランド人と会うことが多かったので、日本人というだけで好感度アップの下駄をはかせてもらいます。

最初のホスト、編集者のエリカはヘルシンキ大学で日本語を学び、来日経験二回。宮崎アニメの大ファンです。
エリカの夫、サムも囲碁をたしなみ『ヒカルの碁』の愛読者。日本出張の折には、聖地である日本碁院を訪ね、カウチサーフィンを利用し、おいしいラーメン屋に連れていってもらったりしたそうです。

長男のラウリ君は小学校6年生。
世界学力テストで常に好成績のフィンランドの学校に興味があるとエリカにメールしておいたところ、小学校訪問を手配してくれました。算数と英語の授業を一緒に受け、生徒6人による学校ガイドツアーも開催してもらいました。
26人のクラスの前で「ミナ・オレン・ヤパニライネン(私は日本人です)」と挨拶すると、子供たちからは「へー、すごい!」というような賛美の視線が集まりました。アニメや漫画、ゲームのおかげなのでしょう。

フィンランドの図書館には漫画コーナーがあります。多くの日本の漫画がフィンランド語に訳されています。

ヘルシンキの漫画喫茶には、日本語の漫画も置いてあり、おもわず一条ゆかりの作品を読みふけってしまいました。

フィンランドを代表する建築家アルヴァ・アアルトの生家の前は工事中だったのですが、オレンジ色の日立建機の重機が動いていました。
タンペレ郊外のサマーコテージにあったボートはホンダ製。とても性能がいいそうです。

海外でHITACHI、HONDAといったロゴを目にして、好意的な評判を耳にするのは、とてもうれしいことです。

ノキアマイクロソフトの傘下に入ったというニュースが流れたのは、エリカの出版社を訪問した日でした。
エリカも同僚の編集者も「しかたのないこと」と淡々とした反応。
「たしかにノキアフィンランドを代表する企業だったから残念に思う。でも、今はアングリーバードなど、新しい産業が育っているし。世界を相手に仕事をするのなら、変化を受け入れなくてはいけない」という説明が続きました。

その数日後、2020年のオリンピックの東京開催が決定。一時的にせよ海外に身を置く日本人にとっては、肩身の広い思いができました。

国に不満はあるけれど、世界的な水準から見れば、私は日本で生まれたということだけで、かなりのアドバンテージを持っています。今日、食べるものの心配をしなくてすむ子供時代を送り、当たり前のように学校に通ったのですから。
そんな殊勝な気持ちになれるのも、海外旅行から得られるものの一つです。



ホストしてもらったお礼に、エリカのお宅で巻き寿司、お好み焼きを作りました。スーパーにお好み焼きソースがなくてあせったのですが、原型はイギリスのウースターソースであることを思い出し、イギリス製のとろりとしたHPソースで代用。マヨネーズもかけると、それっぽい味になりました。巻き寿司の具はサーモン、きゅうり、人参、アボカド、チーズ、ハムなど。お好み焼きにはベーコンとチーズを乗せました。鍋でご飯を炊くことに慣れていなくて加減がわからず巻き寿司の切り口がいびつになってしまいました。まだまだ練習が必要です。