礼文島で泊ったホテルで夕食後に島の風景の上映会があると聞きました。昼間にさんざんリアルな風景を見てきたから別にいいかと思ったのですが、どんなものか参加してみました。
登場したのはアメリカ人カメラマン、クリストファー・ブラウンさん。流暢な日本を話し、テレビ番組にも登場したり政府広報でも紹介されています。
https://www.gov-online.go.jp/eng/publicity/book/hlj/html/202111/202111_04_jp.html
上映会で見せてもらったのは、ドローンによる撮影映像。徒歩や車窓からとはまた違った景色が広がり、思わず見入ってしまいました。花が咲いていく経過を撮るために同じ場所に何度も通ったり、太陽光のベストタイミングを求めて何時間も待ったり。そうしたプロセスが積み重なって完成した力作です。
ナレーションの原稿がとてもよくて、メモを取りたくなるほどでした。
「視点を変えると、風景が変わり、人生も変わる」というフレーズが心に残りました。ドローンならではの空中から見た礼文島の風景は、昼間見たものとは異なります。
そして、パースペクティブによって、同じできごとでも心に与える影響はまったく違ってきます。アメリカのスピリチュアリスト、アラン・コーエンの原稿書きを通して学びました。
上映会終了後、写真集や絵葉書も販売しているのに気づきました。財布を部屋に置いて来たので「すぐに戻ってきます」とクリストファーさんに告げて取りに帰りました。
会場に戻ると、他のお客さんとの話がちょうど終わったところ。「隙あらば取材」の格好の機会です。
ミシガン州出身。各地を旅して、北海道出身の奥様と結婚し二人とも礼文島が大好きで移住して15年。奥様は保健師として働いているそうです。
映像のナレーションがとてもよかったと伝えました。クリストファーさんの話を奥さんが日本語の原稿にまとめたそうです。礼文島の冬は観光客が来なくなりますが、スノーシューを履けばどこにでも行けると島の人に聞いたクリストファーさんは、雪に閉ざされた山や森の写真も撮り続けています。
礼文島こそクリストファーさんが求めていた地なんでしょう。
ひるがえって私はどこに向かっているのか自問。U2の"I still haven't found what I'm looking for"を思い出しました。邦題は「終わりなき旅」。私はまだ探し続けています。そもそも何を探しているかもはっきりしていません。
I hace climbed the highest mountains
I have run through the fields
Only to be with you
Only to be with you
I have run, I have crawled
I have scaled these city walls
These city walls
Only to be with you
「高い山に登り、野原を駆け抜け、走って、這いつくばって街の壁をよじ登った。ただあなたと共にいるために」と歌うU2のボノ。「あなた」とは神の存在? 宗教対立が激しいアイルランドで父親がカトリックで母親がプロテスタントという珍しい家庭で育ったボノは、宗教や人種の壁を乗り越えるメッセージの発信を続けています。ボブ・ディランとザ・バンドという一世代前の音楽が好きだった私にとっては、初めて同世代で共感できるミュージシャンです。
この曲が発表されたのは1987年。広告制作会社でコピーライターをしていた私は、制作物の英語版を作る仕事も手がけるようになり、アイルランド系アメリカ人のレジーナに英文チェックを依頼していました。レジーナとU2の影響でアイルランドに行くことを決めて会社を辞めたのが1990年です。
それから35年が過ぎたのに、いまだに何かを探し続けています。
視点を変えれば、私が探しているのは場所じゃなくて、旅行中という状態。とりあえず東京に住んでいますが、それはどこに旅立つにも便利だから。仕事から解放され旅人として生きられるようになった今が理想の生活なのかもしれません。


礼文島の本格的な花のシーズンにはちょっと早かったのですが、5月でもキバナノアマナやエゾエンゴサクが咲いていました。