翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)、ビジネス記事翻訳ですが、そろそろリタイア状態へ移行中。JALの「どこかにマイル」で日本各地に出没。ウラナイ8で活動しています。

世界はおそろしくて、やさしくて、おもしろい

先日ネットで話題になった、インドのチャイ事情。

togetter.com

大阪のおばちゃんの「飴ちゃん」と同じく、インドでのチャイは「初対面の人との距離を縮めたり、親愛の情を伝えるコミュニケーションツール」という声も。

インド旅行者の反応は「そんなこと一回もなかった」「毎回お金を払って飲んでいた」といった声が大半です。中には「ピザやコーヒーをご馳走になったら睡眠薬が入れられて、荷物も服もすべて取られていた」「チャイカップに唇をつけた次の瞬間に目が覚めたら目の前に病院の天井があった」という恐ろしい体験談。

最初のツイート主は「外国人が普通に歩いている観光地ではなく、観光客の行かない場所」と追加で説明しています。

 

インドには二度行きましたが、現地の人にチャイをおごってもらったことは一度もありません。30年前は観光旅行で、15年前は原作本のリライトを担当した映画のロケハン(映画化は頓挫)。いずれの旅でも、女一人で気ままに街を散策するのは無理だと思いました。少し歩いただけで、たくさんの声がかかってきます。中には親切な人もいるのかもしれませんが、ほとんどの目的は客引き。泊まるホテルも乗る列車もすべて決まっていると言っても「いくらで予約した? もっと安くできる」と勧めてきます。

 

帰国の飛行機でバックパックを預けたら、鍵をかけていないポケットに入れていたものがごっそりなくなっていました。おそらくニューデリーの空港で盗られたのでしょうが、残り少ないシャンプーやボディソープの入ったポーチ、壊れかけた折り畳み傘、薄汚れたスリッパなど何の価値もなさそうなものをどうするのでしょうか。

ポケットに一つ残っていたのが、小さなガネーシャ像。一番、価値がありそうなのに。神様だから祟りを恐れて盗めなかったのかもしれません。

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ガネーシャの隣は、アイルランドの妖精、レプラホーン。虹の根元に金貨のたっぷり入った壺を隠しています。アイルランドの国の色は緑。今年もそろそろセント・パトリック・デーの時期ですが、街中が緑一色のとなります。

 

インドと対照的に、アイルランドは一人旅のほうがディープに楽しめます。地元客しか行かない小さなブでちびちびギネスを飲んでいると、常連さんから「ギネス、気に入った?」と声がかかります。会話が弾んでグラスが空になると「次のラウンドは私が」とギネスをおごってくれることもありました。30年以上も前、経済発展前ののどかなアイルランドの田舎町です。バーマン、客、そして宿泊先のB&Bの経営者もすべて知り合いという小さな村なら、こういうことも起こります。

 

もちろん、アイルランドでも犯罪はゼロではありません。そして、ムンバイを舞台にした小説『シャンタラム』では主人公のオーストラリア人リンジーは輝く笑顔のインド人ガイドのプラバカルと出会い、友情を育んでいます。客引きには一切関わらないというかたくなな態度では、ストーリーは展開しません。

 

数年前まではカウチサーフィンで初対面の外国人旅行者を無償で家に泊めていました。「相手が犯罪者だったらどうするの」と心配されましたが、カウチサーフィンはオンライン上の評価システムにより、その人がどんなホストであり客だったかが閲覧できるので不安はありませんでした。

その後、有償のエアビーアンドビーが広がりました。現在、ロシアに侵攻されているウクライナの宿を予約する動きがあるそうです。実際に泊まるのではなく現地のホストを直接支援するためです。

 

旅先で危険な目に遭うこともあれば、心温まる交流を楽しむこともあります。コロナと戦争が終わり、自由に海外に出かけられる時はいつになるでしょうか。若い頃のような破天荒な旅はもう無理だけど、世界のおそろしさではなく、やさしさやおもしろさに触れる旅がしたいものです。