東京の緊急事態宣言は3月第1週に解除されると思い込み、そして、父親が亡くなるなんて想像もしていませんでした。
そんなわけでJALの「どこかにマイル」に申込んでいました。一足早く春を感じようと九州中心の候補地を選んだら、熊本に決定。
私が引きこもっていようと旅に出ようと、大勢に影響なし。 というわけでひっそり出かけてきました。
熊本と言えば、サウナーにとって西の聖地「湯らっくす」!
サウナに泊まるのに抵抗もなくなりましたがさすがに連泊はきつそう。初日の到着が午後7時と遅いので、一泊目は水前寺公園前のビジネスホテル、2泊目は湯らっくす、3泊目はドーミーインという日程にしました。
湯らっくすの水風呂は圧巻。男性用171cm、女性用153cmの深さですっぽりと阿蘇の天然水につかれます。
そしてサウナ室の一画を仕切ったメディテーションサウナ。テレビの音も入って来ず、フィンランド式のロウリュが楽しめます。
しかし、時間によっては常連さんがおしゃべりに興じています。
2人組が出ていくと、残った一人の女性が私に話しかけてきました。「ここのサウナ、会話禁止なのに気になりません?」
「そうですね、メディテーションサウナなのに、あまり瞑想という雰囲気じゃないですね」と私。
再び2人組が戻ってくると、私に話しかけた女性は「ここは会話禁止です」とおしゃべりを制しました。一見さんの私は抗争に巻き込まれたらどうしようとドキドキしましたが、2人組は素直に謝っていました。
そして、別の時間帯ではその場にいない人の悪口大会が繰り広げられ、おちおちサウナにも入っていられません。
エルサレムを巡るイスラエルとパレスチナの抗争の火種が尽きないのと同じく、サウナの聖地に平和は訪れないのでしょうか。
やはり泊まりにして正解でした。夜明けの時間帯はサウナも水風呂もほぼ独占状態。昼間は押すのがはばかられた水風呂のマッドマックスボタンも押して、頭から滝のような水をかぶりました。
いい水が湧く地にサウナがあれば最高。常連さんの抗争も旅の思い出。全国に点在するサウナの聖地巡礼を考えれば、生きるエネルギーが湧いてきます。
六十四卦の火山旅(かざんりょ)は、物見遊山ではなく旅先の不便や憂いといった意味が込められていますが、東洋占術では同じ場所にとどまって空気がよどんだ状態は凶。旅は日常を見直すきっかけとなります。コロナが収まって、以前のように気軽に旅に出られる状況を心待ちにしています。