翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで四刷になりました。

北国の少女と廃墟の街

糠平温泉で泊まったのは、サウナと水風呂もある糠平観光ホテル。

 

ホテルの前にいきなり鹿。

帯広からバスで2時間近くかかりますから、かなり遠くまで来た気になりました。

古いホテルですが、冬はスキー客でにぎわうのか、ロビーは山小屋風で洒落ています。

食事は大広間で。給仕の若い女性は一生懸命覚えらしい日本語でメニューの説明をしてくれました。白いシャツに黒いエプロンのギャルソン風の制服がよく似合っています。途中でお茶をもらおうとしたら、言葉が伝わらず先輩のスタッフをあわてて呼んでくれてました。どこの国から来たのか聞いたら、ミャンマーとのこと。

軍事政権下で内戦が長引くミャンマー。どんな決意で祖国から旅立ったのか、そして家族はどんな気持ちで彼女を送り出したのでしょうか。そして糠平は、アウトドア志向の人にはいいでしょうが、ミャンマー若い女性にとって楽しいところでしょうか。後で日本人スタッフに聞いたら、ミャンマー人とベトナム人が多いとのことで、同じ出身国の同僚がいると知ってほっとしました。

 

北海道や東北を旅するたびに思い出すボブ・ディランの「北国の少女」。エレキギターを持つ前、初期のフォークソングです。若い頃にディランの詩で英語を学んだので、ぴったりの情景に出会うと脳内で曲が鳴り響きます。

 

If you're traveling in the north country fair 

Where the winds hit heavy on the borderline

Remenber me to one who lives there

For she once was a true love of mine

あなたが北国の市場を旅するのなら

国境に近く風が重く吹き付ける場所

そこに住む人によろしくと伝えてほしい

かつて僕が真に愛した人に

 

If you go when the snow flakes storm

When the rivers freeze and summer ends

Plese see if she wears a coat so warm

To keep her from the howling winds

あなたが吹雪の中を進むなら

夏が終わって川が凍りつく季節

彼女が温かいコートを着て

うなる風から守られているか見てきてほしい

 


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ディランはカナダと国境を接するミネソタ州出身。故郷で好きだった女の子を歌った曲でしょうか。

 

誰か糠平温泉に行く人がいれば、あのホテルで働くミャンマー若い人たちが元気でいるか見てきてほしい。

 

朽ちていくタウシュベツ橋を老いた自分に重ねましたが、日本の姿にも重なります。外国人の働き手なしでは、糠別温泉のような地方の宿は維持できないでしょう。全国各地に廃墟になった大型ホテルが放置され、廃墟となっています。

 

「廃墟の街」も、ディランのフォーク時代を代表する名曲。詩人としての才能を存分に発揮しています。

 

Now the moon is almost hidden

The stars are beginning to hide

今、月はほとんど隠れ

星たちも消え始め

The fortunetelling lady

Has even taken all her things inside

占い師の女さえも

仕事の道具を片付ける

 


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来年は60年に一度の丙午の年。

女性誌の原稿を書いていた頃は、東洋占術による来年の予測をよく書いたものです。一般には五行の火が強くなる年は景気もよくなるのですが、深刻な少子高齢化が進む日本に火の気が巡ってきたところで、衰退のスピードが多少遅くなるぐらいでしょう。むしろ迷信を信じて丙午生まれの女の子が生まれるのを避けて出産を控える人が多くなり一気に衰退が進むかも。来年を占えと依頼されたら、占い師も仕事の道具を片付けるような廃墟の国になりそうです。