翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

種子島の古いホテルで

思いのほか、種子島の旅は心に残りました。

 

創業1848年の老舗宿、あらきホテルに宿泊。

ネットの口コミでは「建物が古い」と書かれています。JALの航空券とセットで予約したのですが、2014年オープンの新しいホテルも候補にありました。しかし、そちらのサウナ付き大浴場は男性専用! 女性は部屋のユニットバスを使えということです。

 

あらきホテルは隣接する温泉を宿泊者は何回でも利用できます。女湯はミストサウナだったのがちょっと残念ですが、露天風呂に井戸水の水風呂もありました。地元の人も銭湯として利用しています。

  

f:id:bob0524:20200211161307j:plain

 

ホテルのスタッフは親切で、マニュアルぽさがなく、宿泊者の役に立とうという気持ちが前面に出る対応です。代々続く独立系の老舗ホテルはこうした姿勢が受け継がれていくのでしょう。

 

夕食なしのプランだったので、おすすめの居酒屋をフロントで教えてもらいました。島の料理を出すというお店、生ビールと島の焼酎を飲み、地元の魚や野菜料理をたっぷり食べました。

 

朝食はごく普通の朝定食でしたが、会場を取り仕切る女性スタッフがまたすばらしい。宿泊客がそう多くないこともあり、サービスの目が行き届いています。

朝食会場を去る時に「今日はあいにくの雨で…」といかにも残念そうに言います。雨といっても小雨程度だし、前日は快晴だったし、朝食前にも温泉と水風呂を楽しんだ私は上機嫌で天気なんて気にしていませんでした。

それでも、そんな風に声をかけてくれる心遣いがうれしいし、彼女が心からそう言ってくれていることが伝わってきました。

 

言葉や実績だけでなく存在だけで人をいやす人がいます。

 

偉大な宗教者ならそんなこともあるだろうと感心しましたが、日常のレベルでそうした雰囲気を醸し出している人もいます。

 

 

日系二世のケネス田中先生の仏教講座を受けるようになり、この本を読み返しました。

 

 

 

ヨガの修行が進めば、日常生活で何をしてもそれは神に捧げるものになると書いてあります。

 

人は意識が高まれば、どんな職業でも光をひろげるための乗り物に代えられるようになります。あなたが最初にそうなれば、つぎにあなたが出会う仏性をそなえた存在は、バスの運転手、医師、職工、保険外交員、音楽家、料理長、教師など、複雑な社会が要求するありとあらゆる役割、つまり、キリストの肉体のさまざまな部分として姿を現すでしょう。

 あなたにはその人がわかります。というのも、バスに乗るときに小銭を渡すといった、ふたりのあいだに発生する簡単なふるまいの中に、人間の神性に対するあなたの進行を強めるものがあるからなのです。それほど簡単なことなのです。

 

とてもこのレベルに達しているとは思えませんが、種子島のホテルで会った朝食会場の女性スタッフでこの一節を思い出したのです。

 

そして、この人は毎日こんなふうに旅人を送り出しているんだろうなと想像しました。種子島の小さな古いホテルでそんな人が働いていることを知っただけでも、この旅に出た甲斐がありました。