村上春樹は、「小説家になれたことは幸運のおかげだけど、幸運はただの入場券みたいなもの」と書いています。「油田や金鉱と違い、いったん手に入れたらそれでオーケーというものではない」そうです。
その入場券を持っていれば、あなたは催し物の会場に入れてもらいます――でもそれだけのことです。入り口で入場券を渡して、会場の中に入れてもらって、それからどのような行動をとるか、そこで何を見出し、何を取り、何を捨てるか、そこで生じるであろういくつかの障害をどのように乗り越えていくか、それはあくまでも個人の才能や資質や技量の問題になり、人としての器量の問題になり、世界観の問題になり、また時にはごくシンプルに身体力の問題になります。

- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/09/28
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (11件) を見る
「貧乏な占い師がいるのはなぜか」と聞かれることがありますが、その答えの一つがこれなのかもしれません。
日本語教師養成講座にせっせと通って資格を得た時も、これと同じような結論に至りました。
「資格さえ持っておけば、何もすることがなくなった時、日本語を教えることができる」というのは甘い考えでした。
資格を持っていれば、日本語学校の求人に応募できるというだけのことでした。
そして、運よく採用されたとしても、学生からの評価が低ければシフトから外されるし、気力や体力が尽きて学校を去る人もいるでしょう。
そこまで占い師は教えてくれません。
だったら占いなんかに頼るのはやめるのも一つの考え方ですし、スタートラインに立つために占いを活用するのだってありです。
一方、ホリエモンは、アイディアを重視しません。
「アプリのアイディアはあるけれど、自分は作れないので、プログラマーに作ってもらったら、報酬割合はどの程度が妥当か」という読者からの問いに対して「アイディアだけで報酬を得ようという気にはならない」と答えています。
藤沢数希氏も「アイディアだけではダメ。アイディアをいかに他の人たちよりうまく実行するか」が大切だと解説しています。
占いは元手の要らない商売だと思われているためか、スペースがあるから鑑定イベントや講座をやれば利益が出ると考える人もいるのですが、それは机上の空論。実際に現場を回していくためには、やらなくてはならないことが山のようにあります。
幸運やアイディアだけでは、何にもなりません。
でも、幸運やアイディアがなければ何も始まりません。
12月の吉方取りで訪れた上総一ノ宮の玉前神社。神殿に手を合わせる時、「この世で私が為すべきことがあるとしたら、どうぞ機会を与えてください」と祈ります。占いや神頼みの次の一歩は自分で進むしかないのです。