縮小する一方の活字媒体で生き残るために、易や風水、九星気学などの東洋占術を学びました。女性誌が存続する限り、占いページはなくならないからです。活字の読者の高齢化が進む中、ニーズが高いのはロマンチックな西洋占術ではなく、実利を重んじる東洋占術だろうという読みもありました。そのおかげで、ライター業はなんとか続いています。
占術の修行のために横浜中華街の占いブースで対面鑑定もやりました。
自分には向いていないことがわかり、2年で廃業。
人を占うのは疲れますが、人に占ってもらうのは、大好きです。
副業として日本語を教えるかどうか、迷いが大きかったので、占いのお世話になりました。最終的な決断を下したのは、天海玉紀先生のインナーチャイルドカードのセッション。
「妖精のゴッドマザー」のイメージは日本語学校の教室で常に私の心の中にあります。
日本語教師として教壇に立ったものの、失敗だらけで、何度もやめたいと思ったものです。最初の年はあまりの苦しさに一気に痩せました。ダイエットがうまくいかず、断食施設やヨーガ断食まで試したのに、それ以上に痩せて、高校時代の体重を下回りました。
日本語学校で教えるのが苦しくて、タロットカードで占ってもらったことがあります。
作文クラスのほかにオーソドックスな文法クラスも週に1日、教えているので、そちらのクラスを続けるかどうかが占的でした。月火水の週3勤務が週2になれば少しは楽になるはずです。
出たのは死神のカード。
占い師は「やめるべき」と私に告げました。
「3年ぐらいは続けたい」と反論すると、「いったん勤め始めたら、すぐ辞めてはいけないと考えるのは古い価値観です」とまで言われました。
死神だから、辞める潮時。占い師として妥当な判断です。しかも客が「つらい」「やめたい」と連呼しているのだから、「やめてもいいですよ」とアドバイスするのが占い師の役割でしょう。
でも、私の心の中では猛烈な反感が巻き起こりました。
死神は「死と再生」。「死」だけをクローズアップせず、「再生」も読んでほしい。死神は冬の風景。すべてが刈り取られ、死に絶えたような畑の地下では春に向けての再生が始まっている。
写真の右側のハロウィーン・タロットでは、骸骨が畑の作物に水やりをしていて、再生のイメージが強く出ています。
教師として失敗だらけで学生からはクレームの嵐でも、どこかに希望の灯りがあるはず。それに、「うまく教えたい」というエゴを捨て、基本に忠実になることも必要かもしれない。
自分に都合のいい解釈ですが、私はそう信じたかったのです。
占いが当たっているか、外れたかを検証することは不可能です。タイムマシーンがない限り、異なる選択肢を選んだ結果を知ることはできませんから。
占い師のアドバイス通り、文法のクラスを辞めていれば、今の私はもっと幸せで満ち足りていたかもしれません。
でもあの時に沸き上がった「それは違う」という反発心に従ったことに後悔はありません。
作文のクラスで自由な教え方ができるのは、オーソドックスな文法積み上げ式の日本語教授法の経験があるから。そして、作文クラスで得たノウハウも文法クラスに応用できます。
「辞めるべき」とすっぱり占断してくれた占い師さんには感謝しています。どっちつかずの占断では迷いが深まるだけだったでしょう。
答えが提示されて、「その通り」「それは違う」という内なる声を聞くために占いは役に立ちます。