ラフカディオ・ハーンが出雲を「神々の国の首都」と呼んだなら、草津は「温泉の国の首都」でしょうか。
関東に住んで30年近くになるのに、草津に行ったことがありませんでした。
ようやく草津に行くことになりましたが、泊まるところに散々迷って一つに決められず一泊目は湯畑近くの素泊まり「佳乃や」、二泊目は共立メンテナンスの「木の葉」にしました。
草津に着くと圧倒されるのが観光客の多さです。
平日の午後でも長蛇の列ができていた湯もみショー。
草津の源泉は熱いから板でかき回して適温まで下げます。
わざわざ並んで見るより、温泉を巡ったほうが楽しいかも。でも、草津のおのぼりさんとしては一見の価値ありました。
1泊目の佳乃やで迎えてくれたのは、流ちょうな日本語を話す外国人女性。
つい「日本語をどこで勉強されましたか」と質問しました。彼女の日本語は『みんなの日本語』50課まで終了したレベル。「勉強しましたか」ではなく敬語表現の「勉強されましたか」もマスターしているはずです。
パラグアイ女性はとてもうれしそうに自分が通った日本語学校について話してくれました。私の教え子もこんなふうに語ってくれるといいのですけれど。
外国人学生が温泉宿に泊まった話もよく聞くのですが、食事はあまり好評ではありません。たしかに見た目はきれいだけど、自分で選ぶことができず一方的に出されるスタイルがいやなようです。佳乃やは素泊まりで外国人スタッフもいて、館内の説明文も英文が併記されていました。
佳乃やでは無料の簡単な朝食もあるのですが、翌日の朝食は「珈琲 綾」のキャベツサンドにしました。
キャベツがとてもおいしかったので「嬬恋村のキャベツですか」と店の人に聞くと、六合村産とのこと。嬬恋村のキャベツは東京出荷用の大きなキャベツで、地元の人は六合村の小ぶりのキャベツを食べるそうです。
二泊目は草津の中心街からちょっと離れた「木の葉」。
共立メンテナンスは草津の同じ敷地内で「木の葉」と「季の湯」の2タイプを展開しています。宿泊料金にはかなり差があるのは、「季の湯」は露天風呂付き客室だから。
共同の入浴施設が充実しているので、部屋付きの露天風呂はオーバースペックだと思い「木の葉」にしました。
たしかに共同の入浴施設はすばらしかったです。水風呂があるので交互浴ができますし、温泉ではない白湯もあり、入ってみると温泉の湯との差が実感できました。
湯上りに館内をぶらぶら歩いていると、同行者が「そっちに行っちゃだめ、そっちは貴族のスペースだから平民は入っちゃだめ」といいます。
そうか、平民「木の葉」の民なのに貴族「季の庭」に足を踏み入れたか。
「木の葉」の食事はセミバイキング。
バイキングはやっぱりあまり好きじゃないと思いました。旅先の食事は見た目も楽しみたいのに、自分で盛り付けると美しくありません。大皿に盛られた作り置きの料理を見るとげんなりします。
天ぷらなどその場で作る料理もありましたが、揚げたてを食べたいとがつがつするのもちょっと気が引けます。私は常にダイエット中なので、食べ放題は避けるべきでした。
しかも、夕食後に夜鳴きそば! ビールも飲み放題でした。
ここまで自堕落に食べるなんて、『千と千尋の神隠し』のお父さんとお母さんです。豚に変身させられないうちに東京に戻りました。
初の草津に興奮していろいろとやりすぎました。2回目からはもっと落ち着いて天下の名湯をゆっくりめ楽しみたいものです。