翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

人生は暇つぶし

先週末は季節外れの台風襲来。

関東は日曜の夜から月曜朝にかけての台風上陸ということで、日本語学校の休校が決まりました。交通機関が乱れると、外国人学生は対応がむずかしいからでしょう。

 

いつも日曜日の夜は「明日から学校か…」と、どんよりした気分になるのに、降ってわいたような休日。

臨時休校でこんなにうれしい気持ちになるのなら、やめてしまえばどんなに楽になるか。

 

やめるのはそうむずかしいことではありません。非常勤だし、日本語学校は教師の出入りがけっこう激しい職場です。学生の数が変動するので教師のコマ数は保証されないし、安定して働く場所ではありません。日本語教師には外国好きの人も多く、海外の学校と日本の学校を行ったり来たりしている人もいます。

 

「人手不足だし、私がやめると学校が困るだろうから」と考えるのは独りよがりの思い上がりで、いきなり辞めるのでなければ、めいわくはかかりません。

 

二日酔いで教壇に立つのはまずいので、学校の前日はお酒を休んでいるのですが、休校になったので乾杯しました。

アルコールが回ってきて「のんびり暮らしたい」「プレッシャーのある生活はもういやだ」という気持ちに傾いていきます。

 

しかし、最大の問題は暇を持て余すこと。

 

先日、久々に本業で編集者と顔を合わせました。

ほとんどの原稿仕事はメール納品になり、連載がほとんどなので、打ち合わせをする必要もありませんが、年末年始の特集記事の依頼があったのです。

久しぶりに会った編集者と「出版業界、いつまでもつんでしょうかね」と昭和の炭鉱労働者のような会話を交わしました。電車の中で雑誌を読んでいる人なんてほとんどいないし、本屋さんの数も減る一方。「美容院がある限り、女性週刊誌の需要はある」という編集者もいましたが、最近の若い人はカットの最中もスマホを見ているのでは。

 

本業が先細りのところに、副業の日本語教師もやめたら、毎日、何をして暮らせばいいのでしょうか。

 

読みたい本もたくさんあるし、アマゾンのテレビスティックを買ったもののほとんど活用していません。旅行は費用がかかるからしょっちゅう行くわけにはいきませんが、夕方の早い時間から近所の銭湯のサウナに行くのは手軽な娯楽です。

 

それで日々が過ぎていくのなら、天国のような日々のように思えますが、そのうち飽きる可能性大。毎日が休日というのは本当に幸せなことでしょうか。

 

みうらじゅんの本に「人生には目標とか、目的とか、夢とかありますが、それはうまく暇をつぶすための方法です」という一節がありました。

 

さよなら私 (角川文庫)

さよなら私 (角川文庫)

 

  

「いいなぁ、あの人」と思える人は、暇を上手につぶしている人のことであって、決して成功者だと思い込んでいる人ではありません。

 

なるほど、そういうものかも。

だらだらゲームをして日の高いうちからビールでも飲んでいれば、あっという間に一日が終わります。暇はつぶせるけれど、上手なつぶし方とはいえません。

 

日本語学校の授業の準備に時間がかかって大変と愚痴をこぼしたくなりますが、いい暇つぶしを見つけたと思えばいいのです。

 

翌日、授業がある日曜から火曜日までの3日間は休酒して、水曜日の夕方、学校から帰って飲むお酒ののおいしさといったら。

 

生きることは苦であるとお釈迦様は悟られましたが、そう思ってかかるとたまの楽がとても貴重に感じるというプレシャス・プレイではないでしょうか。

親孝行プレイ」なる言葉を生み出したみうらじゅん。「プレシャス・プレイ」もおもしろい言葉です。

毎日酒を飲んでアルコール依存症になれば、お酒はおいしいどころか毒になります。プレシャスなお酒を飲むためにも、お払い箱になるま働き続けたいものです。

 

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小倉の旦過市場にある角打ちの店。「飲食は30分以内でお願い致します」。だらだら深酒せずさっさと切り上げるのが賢い飲み方なんでしょう。