我が家にホームステイしたフィンランド人のヘンリク君が、ハネムーンで日本に来ました。花嫁の張さんは台湾人です。
「東京で一緒に食事を」ということになり、新宿の叙々苑を予約しました。9年前、ヘンリク君が初めて来日した時に両親と弟さんがヘルシンキから迎えに来て、お礼の食事に招待された店です。
単なる食事ではなく、ヘンリク君と張さんへの結婚のお祝いとして、二人を招待することにしました。
若い二人が値段入りのメニューを開いて遠慮しないように、料理はコースで予約し、ドリンクも飲み放題にしました。お祝いの会ならデザートに名前入りのプレートを出してくれるというので、お願いすることに。

「と」だけが日本語! 二人とも日本語を学んでいるので大いにウケました。
張さんのファーストネーム、金偏に玉の漢字が予約メールで打てなくて、店まで行って手書きのメモを渡しました。
ハネムーンの行先、ヘンリク君はタイを提案したけれど張さんが絶対に東京に行きたいと主張したそうです。
張さんは「哈日族」と呼ばれる台湾の日本好きの若者。日本のアニメやゲーム、映画が大好きです。交換留学生として京都工芸繊維大学でデザインを学びましたが、まだ東京を訪れていないのでぜひ来たかったそうです。今も日本語の勉強を続け、日本語能力試験を受け続けています。
フィンランドもマリメッコに代表される北欧デザインの国ですが、ヘンリク君と付き合う前はムーミンがフィンランドのアニメだと知らなかったと言います。ヘンリク君と結婚したのに、フィンランドにはまだ行ってなくて今年の夏休みに初訪問の予定。これはヘンリク君のほうが惚れているのかも。そこまで好きになった人と結婚できるヘンリク君も、強く望まれて結婚する張さんも幸せ者です。
そもそもなぜヘンリク君と我が家の縁ができたのかという話題に。渋谷の日本語学校から留学生をホストするように頼まれた時、アキ・カウリスマキの映画に夢中だったので、フィンランド人学生を指定したのです。カウリスマキが映画の道に進んだのは小津安二郎の影響です。さまざまな「好き」が重なってできた縁。
伊丹十三が好きだという張さん。そういえば私の好きな台湾人監督はアン・リー。『ブロークンバック・マウンテン』や『グリーン・ディスティニー』といったハリウッド映画を撮る前の台湾三部作について語り、ジブリの『千と千尋の神隠し』の舞台は台湾ぽい。アニメやゲームの話題は夫に任せ、金城武からテレサ・テンまで話は尽きませんでした。
こんな会を開くなんて血縁でもないのに差し出がましいかもと思いましたが、二人は結婚前から台北に一緒に住んでいるので、特別なお祝いのセレモニーはしていないと言います。書類の提出をして指輪作りのワークショップでお互いの結婚指輪を作ったぐらいだそうで、とても喜んでもらえました。
桜の開花に合わせて時期を選んだのに、冬に逆戻りしたような寒さと雨の日でしたが、だからこそ二人の仲の良さを目にして温かい気持ちになりました。