翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

グローバル人材は日本企業を選ばない

コロナで明け暮れた3年間。だらだらぼんやり過ごしてしまいましたが、それは私が60代になり仕事から徐々に引退しつつある時期に重なったから。若い世代は、こんな状況でも果敢に人生を前に進めています。

 

フィンランド人のヘンリク君が我が家にホームステイしたのは7年前。当時は18歳の高校生でした。

ヘンリク君の両親は典型的なグローバルエリートで、息子の日本留学を物見遊山でなく将来のキャリアプランにしっかり活かしてほしいという希望を持っていました。

 

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お父さんはフィンランドを代表する企業だったノキアに勤めていましたが、経営が傾きフランス系企業に転職。お母さんから渡された名刺はアメリカ系企業でした。

フィンランドは小さな国だから、国内だけでキャリアを考えてはいけません。ヘンリクの場合は、本人の希望で日本になりました」とお母さん。

「成長性を考えたら中国かインドにしておいたほうがいいのでは」という言葉をぐっと飲みこみました。

 

その後、ヘンリク君は大学に入り兵役も務め、交換留学生として2019年から半年間、京都工芸繊維大学で学びました。

2019年の秋、大学を案内してもらいました。「このとき、もう彼女と付き合っていたんだけど、言わなくてごめん」とのことですが、別にリアルタイムで報告してくれなくてもいいから。

コロナが蔓延する直前に無事に帰国。フィンランドに帰国後、大学院に進み、そろそろ就職の時期。専攻は情報工学です。

漠然とフィンランドに進出する日本企業に就職したらいいのにと願っていました。留学経験が活かせるし、東京に出張する機会もあるだろうから。

 

ヘンリク君から台湾企業に入社したと報告がありました。

京都工芸繊維大学の留学生仲間だった台湾人の女の子と付き合うようになり、現在、台北の士林で一緒に住んでいるそうです。メールにはワイフじゃなくてガールフレンドとあるので、正式な結婚は様子を見てからなんでしょう。

台湾人の彼女も日本に留学するぐらいだから日本好きなんでしょう。日本を選んだからこそ彼女に出会い、台湾企業に就職。そう考えると、ヘンリク君の日本留学が彼の人生の流れを決めたのです。

 

日本企業では給与の面でとても満足できないでしょう。何しろ30年間所得が上がっていない上に、このところの円安です。台湾の半導体メーカーが熊本に進出し、あまりの好待遇に九州ではIT技術者の争奪戦が起こっているとか。

台湾の天才プログラマー、オードリー・タンは35歳でデジタル担当の閣僚に就任。そういう大胆な人事ができる国です。対して日本のサイバーセキュリティ担当大臣は「パソコンは使わない」「USBってなんですか?」の発言で世界から失笑されました。そんな国のIT企業に外国人が就職したいと思うでしょうか。

そして、ネットでJTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー)と揶揄される伝統的な日本企業の文化に外国人社員がなじむのはむずかしいでしょう。

 

ともかく、心は台湾へ向かっています! 

ヘンリク君はそのうちヨーロッパ支社で働くようになるかもしれないから、その前に台北に行って再会しなくては! ガールフレンドにもぜひ会ってみたいけれど、あまりぐいぐい行くと、姑ぽくて嫌われるかも。

 

士林といえば夜市。調子に乗って飲み過ぎて転倒し、前歯を折るという流血の惨事がありました。かかりつけの歯科医からは「折った歯を持ち帰ったら使えたのに」と言われましたが、私の歯の一片は今も士林にあると思えば、また行きたくなります。

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台湾では共稼ぎが多く、都会の家のキッチンは小さいので、平日の夕食は夜市で買って済ませることが多いと聞きました。コロナ後はこういうむきだしの陳列も変わっていることでしょう。