翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。2025年夏、ガルシア=マルケスの聖地巡礼でコロンビアへ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで四刷になりました。

執着と忘れ物

これ以上の物は必要ないと思いつつ、好みの品や便利そうなグッズが目に入るとつい買いたくなります。それでいて、脳の老化のせいか、忘れ物が多くなっています。

 

先日は旅先でトレッキングポールをなくしかけました。

海沿いの道を歩こうと考えてトレッキングポールを持参しました。スペイン巡礼で使ったものです。駅で宿の迎えのバスに乗り、部屋に落ち着いて荷ほどき。そのとき、トレッキングポールがないことに気が付きました。

電車を降りるときは持っていたはず。だとしたら、駅のトイレ? 壁に立てかけて、そのまま忘れたのかも。どうしてバックパックに取り付けておかなかったのか! 荷物が複数になると忘れるから一つにまとめるのが鉄則だというのに。

 

翌日、駅まで歩いて行き、駅員さんに尋ねましたが、トレッキングポールの届けはないとのこと。誰かが持って行ったのでしょうか? 

 

ところが帰りのバスに乗り込んで前と同じ席に座ると、座席と横に差し込んであるトレッキングポールを発見! 忘れたのはバスの中だったのです。黒っぽい色で目立たず座席と一体化していたので誰も気が付かなかったのでしょう。

 

そもそも、ふつうのウォーキングではトレッキングポールは必要ないのです。スペインでは毎日20キロ近く歩いていたので、足腰への負担を軽減するために役立ちました。ほとんどの巡礼者が使っていましたが、日本の散歩道で使ったら足の調子が悪い高齢者にしか見えないでしょう。

巡礼が終わったら現地で手放そうと思っていたのですが、毎日一緒に歩いた相棒のような存在になり、とても置いていく気になれず日本まで持ち帰りました。それほど執着のあるトレッキングポールなのに、うっかり忘れてしまう。所有する物は必要最低限でいいのだと改めて感じました。

 

スペイン巡礼「フランス人の道」の最高地点、イラゴ峠にある鉄の十字架。かつては旅の安全を祈願する祭祀の場所であり、現在では自宅から持参した石を置いていく巡礼者もいます。お土産を買うのではなく、持ってきた物を置くという発想が新鮮でした。これからの人生では新たに迎え入れる物より手放す物のほうがずっと多いだろうから。