行動経済学のダン・アリエリーの本に「金があるほど問題が起こる」というラッパーのノートリアスB.I.Gの"Mo Money Mo Problems"が紹介されていました。
そんなはずはないと反論したいのですが、この記事を読んでノートリアスB.I.Gの曲にも一理あると思うようになりました。
お金持ちと貧しい人向け、両極端の二つ病院に勤務しているブラジルの緩和ケア医。患者はみんな、死期が迫っています。
どちらの病院の患者のほうが苦しそうかというと、意外なことにお金持ちのほうだそうです。
どれだけお金を積んでも、最期のときから逃れることはできません。
人生に多くの選択肢があった人ほど、死を前にすると、後悔の波にのまれやすい傾向があります。逆に、生き抜くというただひとつの選択肢しかなかった人ほど、逆境のなかでも最善を尽くしてきたという揺るぎない自信をもって最期を迎えられます。
なるほど。
「金持ちが神の国に入るより、ラクダが針の穴を通る方がまだやさしい」というキリストの言葉はカルトの教えのようだと書きましたが、こういう意味があったのか。
かといって、何も考えずに宗教にお金を明け渡すぐらいなら、少しでも社会の役に立ち、自分らしいお金の使い方をしたいものです。
相続者がいない人が亡くなったら、どんなところに寄付しているのか、終活をお願いしている団体の方に聞いてみたことがあります。
「自分の名前を冠した基金を作りたいなんて人がいるんですが、かなりハードルが高い。面倒になって、結局は国境なき医師団とか山中先生のiPS財団になることが多い」
理想は死ぬ瞬間に持ち金がゼロになっている"DIE WITH ZERO"です。
どんなに抗っても生老病死は免れないという仏教の教えが行き渡っているからでしょうか、バンコクの街のあちこちで極楽浄土のイメージを目にしました。