連日続いている旧統一教会の報道。
占いを仕事の種として、精神世界に興味があり、ケネス田中先生の仏教講座にも熱心に通いました。一歩間違えれば、報道される側になったかもしれません。信者と私を隔てているものが何なのか知りたいのです。
元信者で今は夫婦で奪回支援のボランティアをしているという女性の証言。
「きっかけは手相。『今まで苦労してきましたね』と言われました」
どんなに幸運な人生を歩んできた人でも、何かしらの苦労はあります。手相を見て絶対にはずれない決まり文句です。
「次に家系図を持ってきてと言われ、『長男がうまくいかない家系』だと言われました」
家族のこととなると、自分ではどうにもできない。問題が家系に由来しているのなら、何か大きな力にすがるしかないという切羽詰まった気持ちになるのでしょう。
「高額なビデオセミナーに勧誘され、気がついたら韓国に何度も出かけ、数百万の献金をしていた」
このところテレビ出演が続く紀藤弁護士。
「占いや宗教自体は悪くない。ただ勧誘で占いは巧妙に使われやすい」という発言がありました。
この流れで占い関連の仕事も下火でしょうか。
占いや宗教がすべて禁止された世界は、窮屈で息が詰まりそう。日本神話は荒唐無稽だからおもしろいのです。
さかんに議論されているように「ここまではOK、ここからは危険」というラインを引くのはかなりむずかしいでしょう。旧統一教会問題を騒ぎ立てるなという人は「公明党がOKなのに」などと言い出します。
私の父は宗教に興味がなく、長男なのに田舎の実家からお寺やお墓の相談があるたびに逃げ回っていました。「面倒なことを言ってくるなら、イスラム教スンニ派に改宗する」と伯母たちを脅すぐらいだったので、母が亡くなった時は無宗教の葬儀にするかもしれないと思っていました。
ところが、配偶者の死となると話は違うようです。
「アマゾンのお坊さん便というのがあるらしい」「戒名は私がつけてもいい」と提案すると、「そんなのじゃなくて、ちゃんとしたお寺で」とのこと。
檀家でなくても来てくれる真言宗のお寺を葬儀屋さんが紹介してくれたので、なんとか格好はつきました。お布施の相場も葬儀屋さんに聞きました。戒名は30万円。コピーライターとしてネーミングの仕事もしていた娘の私が付けるほうが、母は喜ぶのにと、ちらりと思いました。
私自身の葬儀は無宗教で執り行うよう、終活の団体に依頼済みです。ただ、死期が近くなったら父のように考えを変えるかもしれません。願わくば「宗教はカルトにつながるから一切禁止」なんて世の中になっていませんように。