日本語教師養成講座で「言語の学習者の数は国力に比例する」と習いました。
日本語ブームが起きて大量の留学生を日本に送り込んできたベトナム。技能実習生の劣悪な労働環境が知れ渡ったのに加え、円安で日本語を学ぶ学生は大幅に減っているそうです。
私が非常勤の日本語教師として教壇に立ったのは2017年。「日本はすごい」という残像があったおかげで、日本語教師が不足して50代未経験でも講師に採用されました。
日本の漫画やアニメが好きな欧米のオタクに日本語を教えていたのですが、少なからぬ学生が「韓国の音楽やドラマが好きで韓国に留学したかったけれど、親の勧めで日本にした」と、ネトウヨが憤死するようなことを言うのです。親世代は日本経済が最強だった時代のイメージを引きずっているのでしょう。
経済の敗北は為替の弱さにストレートに反映されますが、文化の弱さは留学生や観光客の減少につながっていきます。
小津や黒澤の映画は世界中に影響を及ぼしました。bob0524.hatenablog.com
ガルシア=マルケスの『物語の作り方』でも、死の宣告を受けた公務員が聖人となるストーリーで「黒澤の『生きる』ではどうなっている?」と黒澤映画を観ることが映画人としての教養になっていて、日本人として誇らしい気持ちになりました。
公共放送が制作する朝ドラの『ちむどんどん』が日本の停滞を象徴しているようで暗澹としていたところ、文芸評論家の斎藤美奈子のコラムで『ウ・ヨンユ弁護士は天才肌』という韓流ドラマを知りました。
『ちむどんどん』の評判が最悪である。登場人物の誰も学習せず成長しない。対照的なのが『ウ・ヨンユ弁護士は天才肌』だ。新たな事案のたびに学習し一人前に成長していく努力した人が報われる社会であってほしいという願いを暢子は裏切り、ヨンウは応える。
辛口の斎藤美奈子が絶賛しているのだから、きっとおもいしろいにに違いない。期待以上のドラマでした。
自閉症スペクトラムの天才弁護士とい役柄には苦労したことでしょう。どこかぎこちなくて、普通じゃないところを表現。かといってやりすぎると自閉症の人や家族を傷つけることになります。パク・ウンビンはこの役を引き受けるかどうか悩み、専門家に相談しながら演技練習を重ねました。
釜山の朝日が見えるお寺に湧き出る霊水。左のハングルは読めなくても、右の漢字を読めばだいたい意味がわかります。
欧米のドラマより身近。でも日本と同じじゃない。その微妙な関係が韓流ドラマのおもしろさです。願わくば、日本からも韓国や世界を夢中にさせるコンテンツを発信してほしいものです。