翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

やんばるの夜と朝

成人の日の連休明け、旅行料金がぐっと安くなるタイミングで沖縄に出かけました。天気がよく、春を通り越して初夏の陽気。Tシャツで歩く人もいました。同じ日に北海道の雪のニュースを見て、日本は広いと実感しました。

 

今回は、やんばる(沖縄本島北部)まで足を伸ばしました。NHK朝ドラ『ちむどんどん』の舞台です。こう書くと『ちむどんどん』の大ファンみたいですが、あまりにも無理のある展開をどう終結させるのか、いじわるな好奇心から見続けました。

bob0524.hatenablog.com

 

『ちむどんどん』の登場人物たちは、やんばると銀座、鶴見をこともなげに行ったり来たりしていましたが、現実世界ではかなり大変。羽田から那覇に飛んでまず一泊。翌朝、那覇バスターミナルから高速バスで名護へ。名護で昼食をとり、辺土名線に乗り換えてやんばるへ。

宿は旅のサブスク、ハフで予約。コワーキングプレース、食堂を備えた施設です。隣近所から離れた、ぽつんと一軒家。元々は木のおもちゃ工房だったそうで、木がふんだんに使われています。

 

コワーキングプレース。やんばるの森を見ながら仕事ができます。

とても雰囲気のいい空間なのですが、海が近く建物の維持管理は大変そう。この窓は素敵ですが、台風のときはどうするのでしょうか。白アリの被害もあるそうです。こういう話を聞くと、ずぼらな私は別荘なんて買ったら大変だと思います。その都度、宿泊料を払ってきれいに保たれた部屋に泊まるのが楽でいい。この宿はハフを使ったから3000円足らずで泊まれたし。

 

夕食は食堂でと思っていたのですが、居酒屋営業はやめてしまったとのこと。1時間に1本のバスで道の駅・国頭(くにがみ)に行き、近くのコンビニで食料と飲み物を調達しました。

 

この日は他の宿泊客はなく、オーナーやコワーキングプレースの管理の方も帰ってしまうので、心配なら入口の鍵もかけていいと言われました。こんなところにわざわざ押し入ってくる賊もいないでしょうけど。

夜、空を見上げると満天の星。近眼の私にもはっきり見えるほど星が輝いていました。人工の灯りがないと、星が身近に感じられます。

 

翌朝、徒歩15分の喜如嘉(きじょか)共同売店へ。『ちむどんどん』にも出てきましたが、共同売店は地域住民が出資して運営する沖縄特有の店です。車が普及していなかった時代、生活必需品を揃えた共同売店は貴重なライフラインであり、金融機関として融資や学費の貸付も行っていたそうです。

お弁当も売っていたので、昨日の夕食はここで買えばよかったと思いました。沖縄のコンビニのスパムおにぎりやタコライス海苔巻きもおいしいかったから、それはそれでよかったのですが。

 

やんばる特産のお茶を買い、レジの女性に「お店の写真を撮ってもいいですか」と聞いてみると、「ええ、どうぞ。この地域で運営している店ですから」と誇らしげな答えが返ってきました。

冬がこんなに温かいし、スギ花粉も飛んでこなくて、海と森の自然が身近。道を歩いていると、地元の女性から「風が強いですね」と声をかけられました。よそ者にもオープンな土地柄のようです。

『ちむどんどん』のヒロインは、いきなり思い立って東京に出て、最終的にはやんばるに戻ります。私がこんな楽園のような場所で生まれたなら、ずっと暮らし続けるだろうと想像しましたが、故郷のすばらしさを実感するためには、一度離れてみる必要があるのかもしれません。